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じゅうろく ページ19

「アンタ……もしかして見崎?」


「そーだけど何してんの?それオマエの?」


声の主はいつも廊下で八戒と話しているクラスメイト、見崎。まぁまぁ関わりはある方というか小学生の頃ペア決めでしょっちゅう(最後まで残って)組まされた相手というか。


Aが八戒のことを目で追っていることに恐らく気付いているであろう数少ない人物だ。まぁつまりはただのクラスメイトだ。


「いや、これ拾得物……というか誰かの忘れ物というか……」


「あー、そういう系ね?それなら名前書いてないかくらい確かめるわな」


「そうなんだけど全部名前が書いてないのよ」


「無記名ってこと?」


「違う、塗りつぶされてるの」


「はぁ??」


さすがは男子、素直な反応。思ったことを代弁してくれる。わけが分からないというように横から表紙を覗き込んだ見崎は、本当に名前が塗りつぶされていると分かるや否や更に顔を歪めた。


「マジじゃん……。どっか書いとけよ……」


「だから中も一応見たけれど名前がないの。何かの作品のプロットみたいだったから捨てて行ったわけではなさそうだけど……」


「じゃあこのまま置いとけばいいんじゃね?下手に動かした方が持ち主も困りそうだしさ」


「一理ある。そうね、わざわざ中を見る前にそうすれば良かったわ」


結局最後の冊子の中は見ず、元のトートバッグの中に揃えてしまった。そう言われてしまったら中を見ようとするわけにはいかないだろう。そういう意味では来てくれて助かったのかもしれない。


しっかりと口を閉じた安価な黒いトートバッグはベンチに上手く立てかけ、何も無かったかのようにしておいた。


「そういえばどうして此処に?」


「ん、あぁ別に何の用事もねぇんだよな。家にいても親父がうるせぇだけだし、明日がハロウィンとかぶっちゃけどうでもいいから来ただけ」


「そうなの。アンタがいるから八戒君でも待ってるのかと思ったじゃない」


「オレだってそうしたいけどアイツ明日デケェ抗争があるらしいから無理なんだよなぁ〜……。つか今から遊ぶ?明智とか呼んでミステリー談義すんの楽しそうじゃね?」


「それはアリね。ちょうど暇してたの、明智さんの家ならミステリーも山ほどあるし退屈しのぎにはなりそう」


「じゃあ今から凸るか!オレ"Another"のEpisodeS読みてぇんだよな」


「私は少年探偵団シリーズの続きが読みたいわ」


「アイツん家全部揃ってるもんな〜」

終わり ログインすれば
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匿名希望:我妻さん - 受験おわた (2022年2月18日 23時) (レス) id: 3afba90bb5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:匿名希望:我妻さん | 作成日時:2021年12月28日 13時

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