VI ページ7
３人には外で待ってもらうことにして、先生と喫煙所に入った。締め切った窓からはオレンジ混じりの光が差し込み、室内を照らしている。
「本当に一本吸ったら帰りますから」
「はいはい、こっちもそんなに長居させる気はないよ」
タバコを一本取り出して火を点ける。そして何も言われずとも火を差し出して、先生のもついでに点火してやった。
「それで、なんの用です？」
「大したことじゃない、どこの師団に入るつもりか気になっただけだしな。でもその感じ、まだ決めてないんだろ？」
「そうですね」
「お前の"欲"はかなり個人的だもんな」
「……そうですね」
フェネクスの"欲"。最近見つけたばかりのそれは、それこそ今話しているこの教師に自分の力のみで勝つこと。到底かないっこなくても、ワンチャンに賭けて何度も不意打ちをかけるのはそのためだ。
「だけどな、A。だからって俺がどこの顧問をしてるかで決めようとするのはどうかと思うぞ……」
「違いますけど??」
「声でっか」
酷く哀れんだ目をされたのでついボリュームを間違えてしまった。いやぁ、うっかり。
すぅっと息を吸い込む。模造品故の安っぽい煙が肺の中を満たしていく。ほの甘いバニラの香りが鼻腔をくすぐって、心の奥のなんとも言えないわだかまりを刺激した。
「本当のことを言うと、入りたい師団はいくつかあります」
呼出煙と共にそんな言葉を吐き出してみる。
「でも、それは私が避けるべき師団ばかり。私は……私の声は、それを良しとしないでしょう」
「……まだ家系能力のこと気にしてるのか？俺から一本取っておきながら？」
「あれは対象が先生一人だったからです。そうではなくて、私はお母さんみたいに沢山のヒトに声を届けてみたくて……＿＿」
フェネクスの母は不死鳥の長だ。故郷ではその名を知らない者はいないとまでされる。そんな母の娘に生まれて、母に憧れないわけもなくて。
家系能力も母から譲り受けたものだ。使えるようになったのは見た目年齢で６歳頃。これで母に一歩近付けたのだ、と思っていたけれど、喉から出たのは酷く耳障りな声だった。
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ng(プロフ) - とても面白いです！次の更新が待ち遠しいです！ (11月22日 16時) (
レス) @page37 id: 48a8bb30b0 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - 夢主ちゃんの読み聞かせめっちゃ聞きたい…！絶対いい声じゃん。更新頑張って下さい。楽しみにしてます！ (10月30日 22時) (レス) @page39 id: fd6863f2a6 (このIDを非表示/違反報告)
ルウ(プロフ) - この作品大好きです！ いつも楽しみにしています！ (10月4日 20時) (レス) @page36 id: e1051b8db4 (このIDを非表示/違反報告)
おしちゃん(プロフ) - 続編おめでとうございます！！！！！この作品めっちゃ好きなので嬉しいです！！！体調に気をつけて頑張って下さい！！！次の更新が待ちどうしいです！！！ (8月28日 20時) (レス) id: 44c7a03b53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：匿名希望:我妻さん | 作成日時：2023年8月28日 0時
