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会場はただひたすらに静かであった。誰もが本部を、本部から遠い者はスピーカーを見上げていた。その静けさが呆れや興醒めからきたものではないことくらい顔を見ればわかる。むしろこの場で一番騒がしいのは自身の心音の方だろう。
調子に乗って家系能力を発動させてみたけれど、大丈夫だっただろうか。上手くできただろうか。聞き苦しくはなかっただろうか……。
そんな気持ちは突如沸き立った聴衆たちに掻き消された。
「すっげー！」
「続きは！？続きはどうなるの！？」
「語りめっちゃ上手かった！」
あちこちから聴こえる賞賛の声。語りが宴もたけなわというところで中断されたからか、続きを望む声も後を絶たない。
正直思った以上の盛り上がりだ。フェネクスは鳩が豆鉄砲を食らったかのようにポカンとすると、ハッとすぐさま我に返って深々と一礼して。
『お付き合いくださりありがとうございました！』
「Aちゃん、時間が」
「あぁっそうですよね、すみませんマイク返しますっ」
コソッと耳打ちするバラキ先輩に半ば押し付けるようにしてマイクを返す。まだ心臓はバクバクと高鳴っていて、少しばかり息も上がっている。
「おつかれ」
「やってくれたねAちゃん」
フェネクスの肩を抱きながらワルブとエド先輩が言った。呆れたような声をしているものの、その顔はニヤけと興奮でとても楽しそうなものであった。
『さぁ！！いよいよ本祭開始のカウントダウンだ！！開催の鐘が鳴るまで残り40秒！！』
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!」
そしてカウントダウンは始まる。
『39！』
『38！』
『37！』
全校が声をそろえてその時を待ち侘びる。フェネクスも声を張って、１秒また１秒と時を刻んでいく。
『あと30秒！』
そんな盛り上がりの中、煌々と輝きながら空へ昇っていく龍の存在には誰も気付けなかった。龍は学校を覆う見えない壁にぶつかると、そこで進行を止めてしまったかのように見えた。
『残り20秒！』
しかし龍はその姿を禍々しく変え、とうとう壁を突き破った。本祭開始の鐘が鳴るまで、あと。
『10！』
『9！』
『8！』
『7！』
『6！』
『5！』
『4！』
ここで龍はようやく生徒全員の目に触れた。
『3！』
『2！』
『1！』
ゴーン……ゴーン……
カウントが０になると同時に鳴り響く鐘の音。それに重なるように、空には美美しい大輪の花が咲き誇った。
続く
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ng(プロフ) - とても面白いです！次の更新が待ち遠しいです！ (11月22日 16時) (
レス) @page37 id: 48a8bb30b0 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - 夢主ちゃんの読み聞かせめっちゃ聞きたい…！絶対いい声じゃん。更新頑張って下さい。楽しみにしてます！ (10月30日 22時) (レス) @page39 id: fd6863f2a6 (このIDを非表示/違反報告)
ルウ(プロフ) - この作品大好きです！ いつも楽しみにしています！ (10月4日 20時) (レス) @page36 id: e1051b8db4 (このIDを非表示/違反報告)
おしちゃん(プロフ) - 続編おめでとうございます！！！！！この作品めっちゃ好きなので嬉しいです！！！体調に気をつけて頑張って下さい！！！次の更新が待ちどうしいです！！！ (8月28日 20時) (レス) id: 44c7a03b53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：匿名希望:我妻さん | 作成日時：2023年8月28日 0時
