IV ページ34
＿＿そして、とうとう日が暮れ落ちた。前夜祭もいよいよ大詰めへと向かう。会場はよりいっそうの盛り上がりを見せ、気の早い生徒たちは既に中央広場へと向かい始めていた。そんな中、とある悪魔の策謀が渦巻いていることなど誰も知らない。
「すみません、私そろそろ本部に行かないと」
「もうそんな時間？なんだかんだ半日ずっと付き合ってもらっちゃったね」
ふっと顔を綻ばせるエイト先生にそうですねと微笑むフェネクス。ごく普通の、ありふれた祭りの一幕。
パキィン
それは小さな金属が割れる音を境に崩れ落ちることとなる。
ズズンッ！と突如バビルス全体が激しく揺れ始めた。あちらこちらで悲鳴が上がり、全校が混乱状態へと陥る。あまりに酷い地震にマトモに立っていられる者は少なく、幾多の生徒がその場に膝をついた。
フェネクスもその一人だ。ぐらりと傾く足場、思わず身体が後ろ向きに倒れて、
「Aちゃんッ！！」
瞬時に動いたのはエイト先生だった。先生はフェネクスをすかさず抱き寄せると、
かなり焦っていたのか腕の力は強い。グッと先生の胸板に押し付けられて、自分と同じくらい高い体温とタバコの匂いに包まれる。……やがて地震が収まると、先生は安堵の息を吐いて両腕を解放した。
「ケガはない？」
「大丈夫です、エイト先生のおかげで……」
「なら良かった。＿＿こんな地震、僕が知る限りでは初めてだ。一体何が」
「痛ってぇ！！」
「なんだこれっ、壁かぁ！？」
騒ぎはまだまだ続いているらしい。皆が宙を叩いたり変なところで進行方向を変えたりしているので、自分もそっと手を前に伸ばしてみる。
「っ！」
その手は伸ばしきる前にツルツルとした何かに触れた。何かの表面で光は歪み、その全体像を顕にする。
それは檻のように建物を覆い、不規則的に組み上げられた"見えない壁"のほんの一部であった。周りを見た感じ薄っぺらい壁のようだが、少し殴った程度ではたわみもしない凄まじい強度。
チッ、とエイト先生が舌打ちしてイフリートを喚び出した。ごうごうと燃え盛る炎の魔神はグルルルルと低く唸る。そして先生の僅かな目配せ１つで壁を強く殴りつけた。するとドロリと壁が溶け、
「僕はカルエゴ卿の指示を待つ。君は本部に向かいなさい」
頼れる大人の横顔に了解しました、とフェネクスは駆け出した。
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ng(プロフ) - とても面白いです！次の更新が待ち遠しいです！ (11月22日 16時) (
レス) @page37 id: 48a8bb30b0 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - 夢主ちゃんの読み聞かせめっちゃ聞きたい…！絶対いい声じゃん。更新頑張って下さい。楽しみにしてます！ (10月30日 22時) (レス) @page39 id: fd6863f2a6 (このIDを非表示/違反報告)
ルウ(プロフ) - この作品大好きです！ いつも楽しみにしています！ (10月4日 20時) (レス) @page36 id: e1051b8db4 (このIDを非表示/違反報告)
おしちゃん(プロフ) - 続編おめでとうございます！！！！！この作品めっちゃ好きなので嬉しいです！！！体調に気をつけて頑張って下さい！！！次の更新が待ちどうしいです！！！ (8月28日 20時) (レス) id: 44c7a03b53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：匿名希望:我妻さん | 作成日時：2023年8月28日 0時
