�� ページ24
「俺が何も考えずに泊まり作業の提案をしたとでも思ったか。そんなわけないだろ、こんな面白いチャンス逃すわけにはいかないね」
「なにが面白いの、なにが」
「でも会いに行くんだろ？」
「……まぁ」
夜なら奇襲もかけやすいし、不意打ち成功するかもしれない。あの憎たらしい余裕な笑みを崩せるなら行く価値は充分にある。ワルブの思惑通りになるのは些か複雑な気分だが。
「行く……けど、ルヴお兄ちゃんもついてきてよ。言い出しっぺなんだからちゃんと送り届けて」
「その呼び方やめて、マジで断れなくなるから」
「断れなくしてるもん」
利用できるものはなんでも利用する、悪魔として当然である。旅の道連れはこれで確保できたとして、あと欲しいのは"建前"くらいか。
チラッと手元の魔ドレーヌに目を向ける。昨夜 弟の要望で作ったものの余り。特に凝った作りもしていないいたってシンプルな甘味だ。自分で食べるつもりだったけれど、まぁいいだろう。
「……あくまで差し入れに行くだけだからね。何を期待してるのか知らないけど、ワルブくんが思ってるようなことは一切無いと思っていいよ」
「まぁまだそうかもね」
「まだって。変なの、他の先生に関してはなんにも言わないクセに、イチョウ先生が絡んでくるとすぐそういう風に茶化すよね。そんなにヒトの色恋沙汰に興味あったっけ？」
「いや別に？むしろリア充爆ぜろと思ってるけど」
「じゃあどうして？」
「そうだったら面白いからに決まってるじゃん」
「性格悪いね」
「Aに言われたくない」
軽口を叩きながら適当に歩く。複雑な気分は変わらないけれど、この困った兄貴分の思惑通りになってやろうか。
「はーいそこ止まれー」
と、突然うしろから第三者の声が入ってきた。ビクッと２人の肩が跳ねる。錆び付いたブリキ人形の如くぎこちなく振り返ってみると、仄暗い廊下に不釣り合いな明るいブロンド髪が目に入った。
「噂をすれば……」
「こんな時間に男女二人でなにしてんだー、不純異性コーユーは先生許さないからなー」
噂をすればご本人、だ。気の抜けたテンションのイチョウ先生がフェネクスとワルブを見下ろしていた。
「ごっめん俺逃げるわ！また放送室で！」
「ちょっと！？先生『
「はいはい、話は職員室で聞くから」
「なんで私だけっ！ってうわ、抱えないでください乙女を小脇で！！」
抵抗も虚しく職員室行きである。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 310人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ng(プロフ) - とても面白いです！次の更新が待ち遠しいです！ (11月22日 16時) (
レス) @page37 id: 48a8bb30b0 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - 夢主ちゃんの読み聞かせめっちゃ聞きたい…！絶対いい声じゃん。更新頑張って下さい。楽しみにしてます！ (10月30日 22時) (レス) @page39 id: fd6863f2a6 (このIDを非表示/違反報告)
ルウ(プロフ) - この作品大好きです！ いつも楽しみにしています！ (10月4日 20時) (レス) @page36 id: e1051b8db4 (このIDを非表示/違反報告)
おしちゃん(プロフ) - 続編おめでとうございます！！！！！この作品めっちゃ好きなので嬉しいです！！！体調に気をつけて頑張って下さい！！！次の更新が待ちどうしいです！！！ (8月28日 20時) (レス) id: 44c7a03b53 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：匿名希望:我妻さん | 作成日時：2023年8月28日 0時
