�� ページ37
「ここは君が来ていい場所じゃないよ」
また声がした。無邪気な少年のような声。どうやらこの館について何か知っているようだ。溺れるところだったのを助けてくれたあたり、恐らく敵ではないと判断していいだろう。
「すぐに帰してあげる」
「鍵を開けるからその通りに進んでね」
カチャンッ、と目の前の扉が開く。フェネクスはゆっくり立ち上がって扉の先へと向かう。
そこは廊下のようだったが、穴だらけでほとんど機能していないようだ。歩くたびに床が軋む音がする。いつ崩れるだろうと考えるとゾッとして、思い切って早足で進んでいくと、今度は重い鉄のドアがひとりでに開く。そこへ迷わず駆け込めば、地下へと続く階段が待っていた。
静かな空間にフェネクスの足音だけが
地下へ下りると、二つあるドアのうち一つが開いて細い通路が覗いた。ここは比較的まともに通れそうだ。通路に足を踏み入れると、さらに目の前のドアが開く。
導かれるまま次のドア、次のドアと進んでいくと、一つの部屋にたどり着いた。
「あとはここの隠し通路をまっすぐ進むだけ」
「帰ったら ”彼 ”によろしくね」
部屋の本棚がスライドし、隠し通路のドアが現れる。
「待って、"彼"って誰のこと？」
声の主は何も答えなかった。フェネクスはドアノブに手をかける。鍵は当然のように開いていて、明かり一つない通路がフェネクスを出迎えた。
指先に火を灯して進んでいく。少しづつ目の前が霞んでいくのを感じながら、石段を上がって真っ青な部屋に入った時、フッと意識が遠のいた。
「＿＿＿＿い、＿＿じょ＿＿＿＿」
「う……、んん…………」
誰かの呼び声で意識が浮上してくる。うっすら瞼を開くと、見覚えのある血塗れの顔が目に映った。
「…………うわ」
「"うわ"ってなんだ"うわ"って。わざわざ駆けつけたのにひでーヤツだなぽまえ」
起きて最初に見るのがこの→(^ら^)顔である方が酷いだろう。目が潰れるかと思った。それはともかく、
「なんでラッダァ先生がここに……」
「なんでもヘチ魔もあるかよ、ここは俺の持ち場やぞ？１年が倒れてるって２年のヤローが言うから来てみりゃあまさかのおめーだったんだよ、おめーこそなんでいるんだ」
「知りませんよ」
「は？」
「あん？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 220人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おもちやよ〜 - ごめん。控えめにいって神です (8月24日 1時) (
レス) @page42 id: 366c5c0809 (このIDを非表示/違反報告)
fill kuura(プロフ) - ラダセン出てくるの最高でした！大好きです！更新頑張ってください！応援してます！ (8月20日 18時) (レス) @page36 id: d205f07b19 (このIDを非表示/違反報告)
らぴ(プロフ) - も、もしかしててて…！つむせんヤンのデレですか…！？ありがとうございますｺﾞﾌｯ (8月16日 21時) (レス) @page31 id: dcebd836c6 (このIDを非表示/違反報告)
ひのや(プロフ) - 更新ありがたいです！夢主ちゃんに絆されてるイチョウ先生も良きですねぇ！いつも楽しませてもらってます！ (8月16日 3時) (レス) @page31 id: cd87d954a1 (このIDを非表示/違反報告)
麗 - エイト先生とイチョウ先生の手合わせ、。やばい。次が楽しみです！！更新待ってます！！ (8月7日 23時) (レス) @page20 id: 1a0bf65f30 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：匿名希望:我妻さん | 作成日時：2023年8月2日 19時
