�� ページ16
のんびり廊下を歩いて行き第１講義室にたどり着いた。扉を薄く開けてみるとまだ授業中のようで、他クラス生の姿が見える。さすがに気まずくて扉を閉めようとすると、教壇に立つイチョウ先生とふと目が合った。
「あれ、小さな訪問者がいる」
ピキッ。
「悪いな、もう少しで終わるからそこで待っててくれ」
フェネクスは静かに頷くと、無言で扉を閉めた。そのまましばし拳を握りしめて
刹那。迷いなくイチョウ先生の膝を狙って蹴りかかった。さすがは教師といったところかしっかりと避けられたが、不意をつくには充分だったらしい。
「誰がっ……誰が小さいですか蹴りますよ！！」
「もう蹴ったけど！？」
「問答無用ですっ、コノヤロー！自分が大きいからって！！私だって、私だって羽さえ小さければちゃんと大きく見えるんですたぶん……！！」
「わかった、わかったから！俺が悪かったよ！」
66秒くらい涙目でポカスカ殴りかかり、ようやく冷静になったフェネクス。気分転換にタバコを吸おうとしたところ、さすがに講義室ではやめろとのことで喫煙所に連れていかれた。なんでもバレて消臭剤漬けにされたことがあるらしい。全身を。
「はぁ〜っ……生き返る……」
口から煙を吐き出す。フェネクスはまだ未成年なのでこのタバコは偽物みたいなものだが、気持ちだけでもいいものだ。
「フェネクス、その火少し分けてくれ」
「いいですよ」
指先に灯した金色の火を差し出す。イチョウ先生は少し前かがみになってその火を受け取ると、同じように肺いっぱい煙を取り込んで吐き出した。先生と二人、並んで仲良く喫煙所。傍から見たらマズイ光景な気がするがこの際気にしない。
「やっぱり美味いな、純度の高い火で吸うタバコ……」
「ならエイト先生の火が１番いいじゃないですか。あのヒトも喫煙者なんですし、貰えるタイミングはあるはずでしょう？」
「アイツ、自分の火は貴重だからってなかなか分けてくれないんだよ。その代わり絶品なのは間違いないから、分けてもらいたいときは上手く交渉するといい」
「いいこと聞きました。そのときは先生も呼んであげなくもないです」
「もしかしてまだ根に持ってる？」
「持ってません」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 220人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おもちやよ〜 - ごめん。控えめにいって神です (8月24日 1時) (
レス) @page42 id: 366c5c0809 (このIDを非表示/違反報告)
fill kuura(プロフ) - ラダセン出てくるの最高でした！大好きです！更新頑張ってください！応援してます！ (8月20日 18時) (レス) @page36 id: d205f07b19 (このIDを非表示/違反報告)
らぴ(プロフ) - も、もしかしててて…！つむせんヤンのデレですか…！？ありがとうございますｺﾞﾌｯ (8月16日 21時) (レス) @page31 id: dcebd836c6 (このIDを非表示/違反報告)
ひのや(プロフ) - 更新ありがたいです！夢主ちゃんに絆されてるイチョウ先生も良きですねぇ！いつも楽しませてもらってます！ (8月16日 3時) (レス) @page31 id: cd87d954a1 (このIDを非表示/違反報告)
麗 - エイト先生とイチョウ先生の手合わせ、。やばい。次が楽しみです！！更新待ってます！！ (8月7日 23時) (レス) @page20 id: 1a0bf65f30 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：匿名希望:我妻さん | 作成日時：2023年8月2日 19時
