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強制執行、是非もなし:処刑人 ページ5

今日もまた姫はアフターヌーンをティータイムに使おうとしていた。先程ゲームを終えたばかりの身体は全身傷だらけで、正直痛くて堪らない、がこの際気にしない。

鼻歌混じりに足取り軽やかに紅茶を用意する。さすがにこの身体ではケーキスタンドを満たせないだろうが、小鳥のさえずりをそれに見立てればなんてことはないはず。要は気持ちの問題なのだから。

「〜♪」

そこへ訪れたのは、大ぶりの(つるぎ)を腰に携えた黒いコートの処刑人(彼は姫と同じ名を持つので、互いにあだ名で呼び合うようにしている)。彼はふっ、と微笑むと、

「こんにちは、Ms.セープ。少々お時間いただいても?」

そう穏やかな圧をかけるのだった。

「……えぇ、もちろん……。そんな怖い顔しないでください、Mr.アンリ。悪いと思っていますから怒らないで」

「えぇ、僕だってそうしたいですよ。でもね、あなたこれで何度目です?何度僕の目を誤魔化して治療を断りました(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)か?あなたもうら若き女性でしょう、なぜ傷の治りをわざわざ遅める方向に突っ走っていくんですか!?」

「だっ、だってすぐ治」

「りませんから!!というかあなた、傷を放っておいたらどうなるかくらいわかるでしょう!?身に染みて!!知っているでしょう!?馬鹿なんですか!?」

うぐっ、と姫は言葉を詰まらせた。まったくもってその通りだ。晒された生傷が赤赤と刻まれることはおろか、開いた傷口がズキズキと痛むこともよく知っている。なんなら現在進行形ですごく痛い。

が、ムキになった彼女もまた言い返すのだ。

「あっ、あなたには言われたくありません!さっきのゲームだって無理して剣を振るったでしょう!どうして自ら古傷を抉りに行くんです!?」

「それは……っ!あぁもう、ああ言えばこう言う!!黙ってくださいMs.セープ!」

とうとう堪忍袋の緒が切れたのか、処刑人は姫の両顎を無理やりグッと持ち上げた。そして__そのまま噛み付くように唇を重ね合わせる。姫の抵抗も虚しくあっさりと舌はねじ込まれて、今まで感じたことのない感覚に背筋がぞくりと疼いて。

荒々しく絡みついてくるそれから逃れられるわけもなく、必死に彼にしがみついて吐息を零す。不規則に漏れる高い声がとても自分のものとは思えなくて、ただ翻弄されるばかりだ。

はぁっ、と唇を離される。息も絶え絶えに胸に寄りかかる姫を抱き留めると、彼は容赦なく彼女に注射器を刺した__。

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作者名:匿名希望:我妻さん | 作成日時:2022年10月27日 6時

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