約束の場所 ページ4
．
突然送られてきた小川智大選手からのLINE。
お兄ちゃんがプロバレーボール選手って時点でこういうことは多々あった。
同じ流れで追加された、永露選手……市川選手……大塚選手……
ついには石川選手まで。
正直、バレーはすごく好きだし、選手のことも好きだから嬉しいけど
1番恐れていたことが起きた。
小川選手から送られてきたのは、藍くんに関すること。
いつか絶対こうなると分かっていたけど、いざ来るとやはり少し怖い。
でも通知に『�盒桐�』って見えた瞬間に開いてしまった私は、
やっぱり彼を忘れられていない。
もしかしたら、本当に最後の別れが伝えられるのかもしれない。
希望でもあり、絶望でもあるそれを信じ、「いいよ」と返事をしてしまった。
「あそこで会おう」
あそこ、とは母校から離れたところにある、京都の綺麗な街並みを一望できるところ。
そこは思い出の場所であり、約束の場所。
部活に力を入れていた私達は、引退前最後の試合は絶対優勝しようとここで約束をした。
あの時の私を1番元気付けてくれた約束。
この約束がなかったらきっと優勝できてなかった。
約束の場所で撮ったツーショットを見ながら懐かしいな、と思う。
完全に……まだ藍くんが好きだ。
明後日、藍くんに会う。
3…4年ぶり…？
どんな服にしようか、どんな髪型がいいか…今の彼の好みはなんなんだろうか……
もう既に彼女が出来てるかもしれないのに、希望なんてほぼないのに…
完全に浮かれてる。
いや、たとえ最後だとしても、最後くらい可愛い私でいたい。
…YouTubeで忘れられないって言ってくれたのに不安は募るばかり。
最後かもしれない…そう考えただけで軽く涙が出る。
相変わらず弱すぎるぞ。私。
心の中でそう言って自分の頬をペチンと叩けば、痛い。
藍くんに会えることが嘘じゃないと教えてくれる。
嘘なら嘘でまた泣くくせに……さっきから矛盾ばかりだ。
藍くんは楽しみにしてくれてるのだろうか。
どんな格好で来るかな。
しちゃいけないって分かってるけど、わくわくしながらベッドに行く。
天井を見つめれば見つめるほど、いつの間にか彼との思い出が蘇る。
だめだ、と眠りにつくことにした。
あの時みたいに、よく眠れた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 56人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：すずきもち | 作成日時：2024年3月21日 1時
