藍side ページ2
好きになっちゃいけなかったのかもしれない。
辛い思いをさせるだけだった。
何度突き放しても、何度やめてと言っても近付いてくる女子達。
俺の愛が足りなかった。
もっと、もっともっと好きだと伝えていれば……
彼女との出会いは高校2年生の春。
クラス替えの日も部活で朝練があった。
けれどいつもよりは早めに解散をして、人の少ない廊下を通り、新しい教室に入る。
誰もいないと思っていたそこには1人の女子がいた。
それが彼女だった。
高梨こより。
静かに読書をするその横顔に、一目惚れだった。
運良く席が前後だったからめちゃくちゃ勇気を出して声をかけた。
｢お、おはよ…！来るの早いね！｣
振り返れば、読書をしているのに急に横から知らない人が｢おはよう｣って、割と邪魔だったなと思う。
｢おはよう…えっと、�盒桐�くんだよね｣
透き通っている、綺麗な声だった。
｢知ってくれとるん！｣
｢バレー、好きだから…いつも金曜日に見て、ました…｣
金曜日は彼女の所属している部活と男子バレー部が隣合う日だった。
｢見られとったん…！？うわぁ〜、しょーもないミスしてたかも…｣
｢大丈夫、私の目にはミスもかっこよく見える｣
緊張がほぐれたのか、少しドヤ顔で答える彼女が可愛かった。
それが、彼女との出会いだった。
自慢げにするそのドヤ顔が、俺は世界一好きだ。
付き合ってからも何度か友達に
｢かっこいいでしょ！｣
とドヤ顔をする彼女を何度抱きしめたいと思ったか。
でもだんだんと距離を置かれるようになってからは、その顔を見ることも減っていった。
そして卒業式前日に別れを告げられた。
最後に卒業式が終わったあと話したいと思っていたけど、
その日、賞状を貰うところ以外で彼女を見ることは無かった。
何度もLINEを送ろうとした。でも勇気が出なかった。
試合に誘いたかった。見て欲しかった。
幸いブロックされていないインスタとLINE。
定期的にあがる楽しそうなストーリーを陰ながら見れるだけで、それだけでよかった。
それ以上のことをすれば、全てが無くなる気がしたから。
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作者名：すずきもち | 作成日時：2024年3月21日 1時
