忘れられない ページ1
好きになっちゃいけなかった。
ただ辛いだけだった。
｢藍くん！！！｣ ｢�盒兇�ん！！！｣
彼の周りにはいつも異性がいた。
バレーをしている姿は誰よりもかっこよかった。
なのに友達と話している時とか、点を決めた時に見せるあの笑顔が…
私は大好きだった。
彼も私に好意を寄せているとわかった時は
もうどんな不幸が訪れようと気にせずにいれそうなくらい
幸せだった。
ずっと捨てられないカレンダーを見れば
【付き合った！！！】
【初デート！】
【お互いに部活で優勝✨】
あの頃の私がどれだけ幸せだったか伝わってくる。
何度も捨てようとした。
でも｢最後に。｣｢最後に…。｣って言い訳をするうちに、あの時の景色が、
あの時の彼の笑顔が、
まるで昨日の事のように思い出してしまって、捨てられなかった。
彼はずっと好きだって言ってくれたけど、
彼の周りに女の子がいるのを見る度に辛くなって、
勝手に怒って、勝手に別れを告げた。
泣いちゃいけないのに涙は止まらなくて、
最後の最後まで彼を困らせた。
テレビで彼を見る度にいつの間にか音量を上げたり、集中して見てしまうのは
私が彼を忘れることが出来ない決定的な証拠。
でも、それも今日で終わりにしようと決めた。
彼の試合を見返して、彼との写真を見返して……
少しお高いネックレスを手に取れば、
なかなか照れない彼が頬を赤く染めながら
私の大好きなあの笑顔でプレゼントしてくれた思い出が頭をよぎる。
ボーっとしてしまった私を気付かせたのは、YouTubeの通知。
らんるい
【100の質問】�盒桐�が過去の恋愛事情や……
なんて最悪なベストタイミング。
でも、最後にこれを見ればキリが良さそう。
そう思って動画を見れば、楽しそうに質問に答える彼の姿が、
全てを終わらせようとする私を引き止めてくる。
もう見るのをやめようか、
YouTubeを閉じようとすれば、2度目の最悪なベストタイミング。
｢元カノはいますか？｣
｢1人います。｣
｢どんな人なん？｣
｢えぇ…？えーっと…笑顔が可愛くて、仲良くなれば元気いっぱいなんやけど、人見知りで…すぐ顔が赤くなるのに意外と積極的に話しかけてくれたり行動したりしてくれて…｣
｢なんかもう……ずっと、忘れられない人です。｣
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作者名：すずきもち | 作成日時：2024年3月21日 1時
