嫉妬 ページ9
石川side
『マサくん』。
それはあまりにも聞き覚えのありすぎる名前で。
石川｢Aちゃんってマサさんと、知り合いなの…？
っていうか、めっちゃ仲良い…マサくん呼びだし…｣
『ん…？あっ、言ってなかったですよね！
マサくんとはいろいろあって8歳の時から仲良くさせてもらってます！』
石川｢そう、なんだ…？｣
マサさん、俺より何年も先に出会ってるんだ。
幼少期のAちゃんを知ってるんだ…。
俺の知らないAちゃんをたくさん知ってるんだろうな。
ダメだ、こんなんで嫉妬してたら…。
『祐希さんの話はマサくんからいっぱい聞いてました！』
石川｢そうなの？なんか恥ずかしい、笑
たしかにAちゃん、みんなの名前覚えるの早かったよね｣
『マサくんから耳にタコが出来るほど相談とか聞いてましたからね〜』
マサくん。……マサ、くん。俺も、さん呼びじゃないのがいい。
俺だって祐希くんとか、祐希とか…呼ばれたい……
藍｢有志さん、俺らちょっとあっち行きましょ！｣
西田｢えっ？あ、おぉ…？｣
藍が察して有志と一緒に少し遠くに行ってくれた。
ほんとよく出来た後輩だこと…。
『あ、マサくんと会う時に祐希さんも来ま…「祐希。」
つい言ってしまった。だって、嫌だったから。
ただでさえ幼少期のAちゃんをあんまり知らない点で負けてるのに
呼び方でも負けたくなんかない。
『えっ…？』
石川｢祐希って、呼んで。｣
『え、や、でも…』
石川｢でもじゃない。祐希。｣
『祐希さ…「違うでしょ。」
自分でも少し冷たい態度とってることは分かってる。
たかがこんなことで嫉妬してるのがバカみたいだってことも、分かってるけど…
石川｢俺の名前は？｣
『…祐希……です…』
石川｢うん、そう。｣
Aちゃんは少し怯えているようだった。
たしかに、怖かったよな…。
石川｢ごめん。ごめんね。…嫉妬しちゃったから……。｣
そう言って俺はAちゃんを抱きしめた。
相変わらず小さくて、腕の中に収まって…可愛い。
石川｢マサさんは、俺の知らないAちゃんを知ってるし…｣
『A…』
石川｢えっ？｣
『祐希だって…ファンの人多くて…。私もA呼びして欲しい！！』
祐希呼びを自然にしてくれたこと
タメ口を自然と使ってくれたこと
わがままを言ってくれたこと
全部が嬉しい。
あ〜…ダメだ。ほんとに。この子といると俺が俺じゃなくなる。
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作者名：すずきもち | 作成日時：2023年10月29日 3時
