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「…なんそれ笑」
そういって苦笑いすれば彼はパソコンを開いてさっきまで俺がしてた課題の作品を開いて俺に見せてきた。
「俺は、望が作ったこのデザインが好き。だから俺らのライブのフライヤー作って欲しい。」
「…本気で言うてんの」
「嘘に見える？ 俺は本気で言うてる」
「…でも俺、自信ないから」
そういえば彼はうーんと顎に手を添えて考える素振りをしたあと、何かを思いついたようにあっ！と声を上げた。そしてキラキラの瞳で俺を見つめた。
「1回、俺らのライブ見に来てや。」
「え？いや、え？」
「俺らのライブ見てから決めて欲しい。」
「絶対に、俺らのバンドには望のデザインが1番合ってるねん。」
そういって紙とペンを取り出して何か書いたと思えばそれを俺に渡してきた。そこには日程と場所が書かれていた。…もうすぐやん。てか学校でやってたんや。
「…気が向いたら行く」
「うん、絶対来て。」
「気が向いたらな」
「待ってる。俺、待ってるから」
そういって俺の頭をクシャクシャと撫でてきた。一瞬、胸がドキッとしたのは心の中に秘めておこう。
「…やば、そろそろ帰らな」
「あ、そっか。課題間に合ったやんな？」
「お陰様で。パソコンは治ってないけど」
「…うん、それはほんまにごめん」
さっきの笑顔はどこいったのやら、一瞬でしゅんと子犬のような顔になる目の前のやつに何故か笑えてきてクスッと笑えば彼は目を見開いたあとまた優しく笑った。
「絶対きてな」
「時間が合えば。またね、………流星」
「…！！……おう、またな望。」
そのまま家のドアを閉めて俺は自分の家へと走り出した。流星と下の名前で呼んだ時の彼の驚いた顔が面白くて自然と笑みが零れた。時間が合えば、流星のライブを見に行こう。俺のデザインが彼らのバンドに合ってるのかと言われれば全く自信はない。作るのかと言われたらそれに頷ける勇気もない。だけど、俺の作品を面白い。好きだ。と言われたのが嬉しくて嬉しくて、堪らなかった。
」
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作者名：夏空
| 作成日時：2023年7月9日 20時
