君が歌い、僕が描く。 (ページ5)

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「いや、何言うてんの」

「えー、正論？」

「んなわけあるか。お断りします」

そういって課題を提出してパソコンを返せば彼はそれを受け取らなかった。

「なんでなん。やってや」

「いーや。絶対いや」

「お前に作って欲しいねん。」

「絶対、俺らのライブのフライヤーにピッタリやと思うねん」

「自分で作ればええやん」

そう言えば彼は、ムリムリといって顔の前で手を横に降った。、なんでなん？この人も俺と同じ学校なんなったら少しは作れるんじゃ…。なんて淡い期待は彼の言葉で吹っ飛んだ

「やって俺、総合映像科やもん」

「………あーー、そっちね」

「うん、そっち。カメラとか舞台の美術とかやから俺にフライヤーを作ることは出来ひんの。」

「うん、理解した。」

「それに比べて…、望は？」

「……さあ？」

「の、ぞ、む、は？」

「………総合デザイン科」

急な下の名前呼びにびっくりしたけど小さく小声でそう言えば、彼は口角を上げてニヤッと笑った

「うん、やっぱり。てことで、作って？」

「……俺が作っても面白くならんよ。」

「え？」

「俺が作るのは全部おもんないから」

「おもんなくて、誰の目にも惹かれんから」

”要するに、落ちこぼれってヤツ”そう言えば彼は首を傾げて意味がわからないとでも言うような顔をした。そして一言。

「俺は、面白いって思ったから頼んだんやけど」

「……………え？」

その一言でなにか、救われた気がした。

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