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「………いや、ここどこ？」
「俺の家」
目の前にあるのはごく普通のマンション。
つい口に出てしまったその言葉の返答に俺は目を見開いた。…なになに、俺今から殴られる？
「…帰ります」
「あ、おい！ええから来い！」
「うわ、ちょ！」
帰ろうと腕を引っ張られながら歩いた道を引き返そうとした時、首根っこを掴まれてあれよあれよとマンションの中へと連れていかれ、そのまま此奴の部屋まで入ってしまったのだ。どうしたらいいのか分からず玄関で突っ立っている俺と半面に、此奴はリビングに足を踏み入れそのまま何かを手に持ってきてこちらに歩み寄ってきた。それは多分そいつが使ってるであろうパソコンやった。
「え？」
「ん。」
「いや、え？」
「課題、間に合わへんのやないん。」
「………ああああ！！」
「俺の使えば」
”お前のやつ、壊してもうたし”なんて気まづそうに言いながら顎をクイッとしてそいつは俺の目の前にパソコンを突き出してきた。なんや此奴…。優しいんか優しくないんか分からん。でも今の俺にはそのパソコンを受け取る以外選択肢は無かった。
「あ、ありがとう」
「とりあえず、あがれば」
そのまま此奴はソファにダイブするもんやから俺はテーブルの端に座ってパソコンを開いた。
これでなんとか課題は終われそうやな。そう思って課題を黙々としていれば横から視線を感じた。見てみればじっとパソコンの画面を彼奴が見ていたのだ
「…なに？」
「……お前、どこの大学？」
「…西虹総合芸術専門学校やけど」
「俺と一緒やん」
「え？え？」
俺が…？こいつと…？同じ学校？
ま、ま、まじでいうてる？
「俺、学校でバンドやってんねん。starってバンド聞いたことない？」
「あ、あのイケメンばっかっていう噂の…？聞いたことはあるけど。って、え！？その人！？」
「ふは、そう。そこのボーカルが俺ってわけ」
「……どおりでイケメンなわけで。」
俺の学校で有名なバンドグループが居るってのは先輩の淳太から聞いてたけど、その正体の1人が目の前にいる彼だと言う事実に目をパチクリするしかなかった。確かに近くで顔を見れば目鼻立ちははっきりしてるし綺麗な二重やし、男の俺から見ても羨ましがるような顔立ちやった。
「藤井流星、よろしくな。」
「…小瀧望、よろしく。」
そういって目の前に差し出されたその右手を俺は握り返すしかなかった。
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作者名：夏空
| 作成日時：2023年7月9日 20時
