スーパーストレート(黒)

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連休が終わり、またいつもの日々が戻ってくる。







感謝しかない目黒さんとの帰り道はすごく楽しい。







家に帰れるよりも、目黒さんと会って話せることが仕事が終わってからのモチベーションになっている気がした。









「じゃあ久々に実家帰れて良かったですね」
「うん。ちゃんと帰れる時には帰りなって言われた」







何気ない会話を交わす。









「あの、Aさん」

「ん？」







目黒さんが口を開く。









「今度の休みの朝、海行きません？」
「海？」
「はい。朝の海って涼しいし、人も少ないから好きなんですよね。
今みたいに帰り道話すのもいいですけど、浜辺で時間に追われずに話すのも良くないですか？」
「確かに！じゃあ、行こ」









目黒さんが顔をほころばせる。









「電車は始発にする？」
「Aさん起きれます？」
「あ、やっぱ始発の1本後で」
「ははっ。分かりました」









そう微笑んだ目黒さんに、胸が締め付けられるような気持ちがした。





.






都会特有の満員ではない電車に目黒さんと揺られながら着いた海。









「涼しい！」
「風も気持ちいいですよね」
「うん」







朝の海ってこんなに綺麗なんだ。







この波の音も、思わず深呼吸をしたくなる空気を作っている。









「水触ります？せっかくだし」
「そうだね」









時間を忘れて、冷たい！とか言いながら楽しんでる私と目黒さん。









すごく癒される。



休日に早起きするのもいいな、なんて思った。









それから私と目黒さんは近くのベンチに座って海を眺める。









話題は目黒さんのこと。









「え、目黒さんって車の整備士さんなんだね」
「はい。男だらけの職場で働いてます」









内面も外見もこんなにかっこいいのに女性の影が見えないのはそれだったんだろう。







でも、







何で、









「...車の仕事、嫌じゃなかったの？」









こんなこと聞かれてそれこそ嫌な思いしないだろうか。





だけど目黒さんは、









「だからこそ選んだんですよね。車の整備不良で事故が起こるのは避けたいなって。まあ、兄の時の場合は完全に人間が悪かったからあれですけど」









その言葉に嘘はない。









でも、悲しそうな顔を覗かせたことを私は見逃さなくて、ちゃんと彼もそれを言葉にした。

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