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「貧血症状が出てるから、しばらく安静にしてあげてね」
「はい」
今日の授業はこれで終わりというのもあって、俺と康二も保健室にいていいと先生は言ってくれてお言葉に甘えることにした。
Aの寝顔を見ていると、壊してしまったあの日のことが頭に過る。
そして目に映った細い腕。
職員室に用があるとかで先生はここを後にした。
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「...貧血って、A、相当痩せてたもんな」
「...うん。背負った時、めちゃめちゃ軽かった」
ここ最近あまり食べてなかったんだろう。
気づいていたのに、変に気を遣って言わなかったことを今さら後悔した。
「めめ」
康二から口を開いたのは久しぶりな気がした。
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「...俺が間違えとった」
「...え？」
「...俺、めめとAのあの光景見てから、友情か好きな人か選ばなあかんって思ったんよね」
「うん」
「でも俺はいじめられとったから、自分が選ぶ側になったことなんてなかったし、これからもなることはないって思っとった。
選んだことなかったから、選択を間違えた」
「...え？」
「友達がおらん辛さを知っとるから、めめと気まずくなるの嫌で、俺はめめを選んだ。
やのに、めめとは前みたいに話せんくなったし、
何より、倒れさせるほどAを追い詰めてしまってた」
Aの手に優しく触れた康二の目からは涙が零れていた。
「ごめんな、A...」
康二のその言葉に俺も涙が止まらなかった。
そして少しして、「めめ」と康二がまた俺を呼びかけ見つめる。
.
「ありがとうな、Aの隣におってくれて。
でも、Aのこと取られたくない」
「康二...」
.
「俺も正直になるわ」
.
康二の言葉に大きく頷いた。
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作者名：キキララ
| 作成日時：2021年9月19日 23時
