すいかとみかんとママレード(黒×橙) (ページ30)

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(Koji side)

俺はずっと独りやった。

小６の時、クラスのいじめを止めたのがきっかけで孤立した。

俺が止めた子は感謝してくれたけど、俺一人が止めたところで状況がそんなによくなるわけもなくて、結局その子は転校した。

そしたら、次のいじめのターゲットは俺しかおらんくて。

中学も同じ小学校のメンバーがそのまま上がるから何にも変わらず。

友達がおらん毎日は苦痛で仕方なくて、慣れたと思ったことはなかった。

だけど、テニスで奈良の県大会に優勝したら周りの目が変わった。

急にいろんな人に話しかけられるようになって、俺のことを友達という人も出てきた。

でも俺はそう思えんかった。

みんなに話しかけられてるのは、俺のことが好きやからじゃない。

俺の分かりやすい実績に寄ってきとるだけなんや。

ふとそう気づいたら、誰のことも信用できんくなって、学校が嫌いになって、家に帰ったら毎日泣いて。

そんな俺の様子を感じ取ったのか、お父さんは親戚のおる東京に転勤願を出した。

お父さんとお母さんが決めたことやから、康二が申し訳なく感じることない。2人はそう言ってくれて、中学卒業後すぐ東京に引っ越した。

でも引っ越したら引っ越したで不安で。

高校の教室に入った時不安しかなくて、人に話しかける勇気なんてなくて萎縮しとった。

そんな俺に最初に話しかけてくれたのがAやった。

あの時の嬉しい気持ちは今でも覚えとる。

この子のことは信じれる。

信じたい。

そう思った。

家族以外の信用できる人に康二と呼んでもらえたのなんて久々やった。

誰もやりたい人がおらんかった球技大会実行委員。

あの時いじめを止めたみたいに、みんなが嫌がることは俺がやらな。

未だにそう思ってた自分に呆れたけど、そのおかげでAともっと仲良くなって、付き合うようになって、幸せやった。

Aのかっこいい幼馴染のめめとも仲良くなって。

俺はもう友達だと思ってる、そう聞いた時ホンマに嬉しかった。