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翌日。
いつも通りAと家を出て、何気ない会話をしながら学校へ向かう。
だけど今日からは違う。
「康二ー」
「お待たせ。おはようA、めめ」
「おはよう」
「おはよ」
朝からご機嫌の康二。
そりゃそうか。
恋が実ったらこうなるよな。
「そういえば、蓮が康二のことは前から友達だと思ってるって言ってたよ」
「マジで!?ありがとうめめ!」
「うん言ったのは本当だけど、A、それ俺いる前で言う?」
「ダメだった?」
「めめ照れ屋なんやなー」
「2人して弄るなって」
3人で笑いだす。
想像とは違って、2人の俺への態度は全く変わらなかった。
Aと康二、互いへの態度も特に変わらない。
幼馴染との日常に親友が加わった。
たったそれだけのことだと思っていた。
そんなある日、Aから来た一件の通知。
テスト期間のことだった。
"放課後康二と勉強するから先帰っといて"
こんな連絡はもちろん初めてだった。
ただこの時は、そういやもうそんな時期かと、かなり前に勉強に見切りをつけた俺は呑気に思っていただけで。
でもテストは頑張らなきゃと思い、背伸びして放課後図書室へ入った時、
「ここにこの公式使うってこと?」
「うん。そしたら答え出るよ」
「ホンマや」
Aと康二が一緒に勉強していた。
仲良さげな姿、いつもより近い距離。
問題が解けたのだろうか喜ぶ康二に、優しく笑うA。
仲いいんだな。
当たり前か。
結局俺は図書室を後にして一人帰った。
2人に声を掛けなかった。
いや、掛けれなかった。
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作者名:キキララ | 作成日時:2021年9月19日 23時