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そんなことがあって高校生になった私の隣の席は男の子だ。
何やらかなり緊張してそうに見える。
どことなく周囲を見渡している彼と思わず目が合ったから、
「深澤、Aです」
流れで自己紹介した。
「俺、向井康二っていいます」
「向井くん、関西弁なんだね」
私がそう言うと向井くんはホッとしたような表情になって、
「え、そんな関西弁出とった？」
「いや、今ほどは出てないけど、トーンとかでもしかしたらそうなのかなって」
「そっかあ。
俺さあ、」
それでも彼はまだどこか緊張している様子で、
「中学まで奈良におって、今年の春に東京来たばっかで。やからめちゃめちゃ緊張しとるし、人見知り発揮しとる」
「そうなんだ。ご家族みんなで引っ越してきたの？」
「うん」
「それは緊張するね」
「でも、高校来て最初に話せた人が良い人でよかったわ」
そう言って笑った向井くん。
「最初に話せた良い人って私？」
冗談っぽく聞いたけど、向井くんはかわいい笑顔で「うん！」と言った。
「名前で呼んでよ、私のこと」
「じゃあ、Aさん？」
「呼び捨てでいいよ、Aで」
「...ホンマに？」
うわ、やっぱ関西弁っていいなあ。
「うん、ホンマに」
「お、意外と上手いな関西弁」
「やったネイティブに褒められた」
私の言葉に向井くんがまた笑う。
人見知りだと自称した彼だけど、その笑顔は太陽みたいだった。
「俺のことも康二でええよ」
「ホンマに？」
「うん、ホンマに。
てか真似せんでええねん！」
流石関西人、ツッコんでくれた。
「よろしくね、康二」
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作者名：キキララ
| 作成日時：2021年9月19日 23時
