ふたり(橙) (ページ7)

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約束までの2週間、とにかく頑張った。

上司から仕事を押し付けられても終わらせて、

終電で帰って始発で向かう相変わらずの日々も、

向井さんとまた会える、そう何度も心で唱えた。

「お疲れ様です」

前日の金曜日、会社を出たのはそんな一日が回る直前だったけど、出てからの自分の顔と心は晴れやかだった。

約束の時間に間に合うようにアラームを設定して、眠りについた。

.

布団の中で聞こえたバイブレーション。

もう起きる時間だっけ。

ていうかアラームこんな音だったっけ。そう思ってスマホの画面を確認する。

上司の名前。

…え？

「…もしもし」
"おーいA、俺のデスクに青のファイル置いてあんだけど今から頼むわ"

「…え？」
"月曜の朝までなの完全に忘れててさあ。そんで俺今遠出してっから行けないのよー"
「…あの、私今日だけは会社行けないって先週からお伝えしてました」
"そうだっけ？"

…。

"期限過ぎたら会社としても結構な損害よ？俺は頼んだからお前の責任になるけど"
「でも、」
"せっかく頼りにされてんだから無下にするとかナシだよな？"

そう切り捨てられ電話が切れる。

時刻は朝6時半。

向井さん。

向井さん。

「…ごめんなさい」