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「今日は本当にありがとう、連れてきてくれて」
「こっちこそ見にきてくれてありがとう」
私と康二くんは写真展を後にした。
少しして私から口を開く。
「ねえ康二くん」
「ん？」
「飲み物買ってさ、桜並木のとこでちょっと話さない？」
「おお、ええな！」
快く提案に乗ってくれた康二くんと、テイクアウトのお店まで歩いて行った。
.
「よいしょー」
「ふふ、たくさん歩いたね」
肩を並べ淵に腰掛ける。
康二くんの手にはアイスコーヒー。
私の手にはレモンティー。
「これからは今の会社でカメラマンとして働くんだっけ？」
「そや。早速周りからいじられとる」
「そうなんだ」
優しい康二くん。
そんな光景が目に浮かぶ。
「康二くんさっき、9月やのにまだまだ暑いなあって言ってたじゃん」
「え？ああ、待ち合わせてすぐの時やっけ？」
「そう」
「よう覚えとんなあ」
微笑む彼に「うん、だって…」と私は続ける。
「思ったんだ。
私と康二くん、出会ってもう半年経つんだなって」
出会った頃、
この木々には桜が咲いていた。
それからそれは満開になって、葉桜になって、
あっという間に秋への準備をしている。
「そっかあもう半年か」
「ね」
「これからもよろしくな、A」
.
最低、だと思う。
初めて出会った場所で。
でも、
最低だって思われなきゃいけない。
.
「康二くん。別れよう」
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作者名：キキララ
| 作成日時：2024年2月1日 16時
