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目が覚めて感じたのは、びっくりするぐらい爽やかな朝の空気だった。
隣にいたはずの彼がそこにいない代わりに、別の部屋から音が聞こえる。
予想通り、その部屋はキッチンだった。
「おはようA」
コーヒー飲める？と聞いた彼に頷く。
「てかごめん、私何にも」
「ええねんええねん。シャワー浴びてき」
「うん」
お言葉に甘えた後ふとスマホを見ると、不在着信が入っていた。
電話番号を念の為調べたら、示していたのは地元の病院で。
「ごめん、ちょっと電話あったからかけ直すね」
「おん」
何の用事だろう、そう思ってかけてからの返事は早かった。
"もしもし、AAさんでしょうか？"
「はい」
"…"
「…え？」
切った後、私は一つの思いに駆られていた。
「康二くんごめん、うちのお母さん入院したみたいで」
「え、大丈夫？」
「命に別条はないって先生は言ってたんだけど…心配だから、これから向かうね」
「分かった。駅まで一緒に行こか？」
「ううん、大丈夫ありがとう。ごめんね」
康二くんにお詫びして、私は彼の部屋を出た。
.
駆け足で病室に向かった私。
お母さんは盲腸で先生の言う通り命に別条はなくて、とりあえずホッとした。
「ごめんねA、心配かけちゃって」
「ううん。何ともなくてよかったよ。退院はいつになりそう？」
「明日にはできるって」
それにまた安心した私は、「何か欲しいものとかある？」と訊ねる。
「お母さんの部屋にある本何冊か持ってきてくれたら嬉しい」
「本なら何でもいいの？」
「うん」
それに「分かった」と言い、私は実家へ向かった。
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作者名：キキララ
| 作成日時：2024年2月1日 16時
