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「出来たでー！」
「わーすごい！美味しそう」
康二くんは得意料理だというチンジャオロースをはじめ色んな料理を作ってくれた。
彼の美味しい手料理を食べながら、私はふとさっきの光景からの話を振った。
「康二くんのお父さん、すごくいい人だね」
「やろ？おかんともずっと仲いいんよ」
「そうなんだ。…何か、初対面な感じしなかった」
「おとんそれ聞いたら喜ぶわ」
その言葉に微笑みながらも改めて振り返る。
本当にそんなはずないのに、どこかで会った気がする人だった。
その後はケーキを食べ始める。
「…なあA」
「ん？」
「…楽しかった？」
「楽しいよ、ご飯もケーキも美味しいし」
「あーいや、違くて」
「え？」
「…先輩と。楽しかった？」
伺うような態度の康二くんを初めて見て不思議に思って、彼の言葉を待つ。
「…ほんまはさ、」
「うん、」
「…２人で会ってんの不安やったし、…ちょっと嫉妬しとった」
嫉妬、という言葉が出るなんて予想してなかった。
「Aのことは信用しとるし、お世話になった人ってのは頭では分かっとんやけど…俺の中では、男の人でしかなくて。ごめんな」
「ううん。むしろ、ちょっとだけ嬉しいかも」
「え？」
「私のこと、そうやって好きでいてくれてるんだなって」
ありがと、と目を見て返すと、
康二くんは私に体を近づける。
その後私の顔に手を添えて、ゆっくり顔も近づいて。
優しく唇が重なった。
少しして離れたけど、体の距離はまだ近い。
私も、きっと彼も、遠ざける気はない。
言葉にするのは難しくて、代わりに彼の服を小さく掴んだ。
「…ずるい」
そう言われ、また唇を重ねられた。
触れては離れてが何度か続いた後、腰に手を回され引き寄せられる。
包まれながらのキスは、重ねるごとに深くなっていった。
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作者名：キキララ
| 作成日時：2024年2月1日 16時
