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(You side)
翔太前に補習した教室に来てほしい
渡辺くんからのメッセージ。
でも彼はまだ来ない。
その間に呼び出された理由を一人考える。
何の話なのかな…。
すると、勢いよくドアが開いた。
え、
「深澤くん…?」
「Aさん」
どこからか走ってきたのだろうか。ドアを開けたその勢いで今度は閉めて、鞄を置いて向かってくる。
そして深澤くんは私を抱き寄せた。
撫でるように頭に触れられた時、渡辺くんに呼び出されたのに深澤くんが来た意味を理解して、あっという間に目頭が熱くなる。
「気遣うの、もう終わろっか」
「深澤くん…」
「色々、本当ごめんね」
「ううん、」
「しんどかったよね」
水分を含んだ優しい声と寄り添ってくれる言葉で、涙が流れた。
頭を預けると、気持ちに応えるようにさらに引き寄せられる。
「付き合おう。ずっと好きだった」
「うん。私もずっと好きだったよ」
「うん、知ってる」
「はは、だよね」
私も深澤くんも笑う。
彼が涙を拭ってくれた後、お互いの顔を見る。
ドキドキして変に口数が減っていると、おでこを重ね合わされた。
「好きなの知ってたのはAさんもじゃん」
「お互い様か」
「お互い様です」
くっついた状態でまた笑顔になって、そのまま数秒。
そしてどちらからともなくゆっくり離れる。
「てかAさん部活だよね?」
「うん。深澤くんもでしょ?」
「うん、行こっか。あーあと、」
「ん?」
「一緒に帰ろ」
少し間を取って紡がれた言葉に驚く。
「私も、それ言おうと思ってた」
「え、本当?」
「うん」
「じゃあ、約束」
優しい表情をする深澤くんに頷く。
一緒に教室を出た時には、涙はちゃんと乾いていた。
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キキララ(プロフ) - さあさんさん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけたんですね😊作者としてたいへん嬉しいです!ありがとうございます✨ (5月1日 9時) (レス) id: 16c60907ce (このIDを非表示/違反報告)
さあさん(プロフ) - 面白くて一気に読み終えました。情景が浮かんでキュンキュンします。。 (5月1日 7時) (レス) @page46 id: a428b66a33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:キキララ | 作成日時:2023年11月19日 17時