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(Fukazawa side)
「さよならー」
夏が迎えに来た季節。
放課後の教室に差し掛かる太陽が眩しい。
相変わらず席が近くならないAさんは、何かを確認しているかのようにスマホを見ている。
そんな彼女に、心の中でじゃあねと唱え教室を出て部活へ向かっていると、
「ふっか」
翔太だった。
「おーおつかれ」
肩を並べ廊下を歩く。
普通を装うけど、2人で話すのは久々でどこか緊張する。
「あのさふっか」
「ん?」
「もういいよ」
翔太から繰り出された言葉で体が止まる。
自分は今どんな顔をしているんだろう。
「え、?」
「Aさんのこと」
「…」
「俺は何も気にしない」
控えめではあっても口角を上げる翔太。
たとえそれが100%本心でも、多少無理したものでも、
俺に言うと決めてくれた翔太に頭が上がらない。
「もう面倒だから。俺に気遣って付き合わないとか。どう見ても勝ち確じゃん」
「いやその…ごめん」
「悪いと思ってんなら行ってきて」
「え?」
「3人で最初に喋った補習の教室にAさんのこと呼び出してるから」
「呼び出してる?今?」
「そうだよ。ここまでお膳立てしてんのに行かないとかないっしょ」
Aさんあんま待たせんなよと、俺の肩をポンと叩いた翔太に、
「ありがとう」
それだけは伝えて、Aさんの元へと走った。
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キキララ(プロフ) - さあさんさん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけたんですね😊作者としてたいへん嬉しいです!ありがとうございます✨ (5月1日 9時) (レス) id: 16c60907ce (このIDを非表示/違反報告)
さあさん(プロフ) - 面白くて一気に読み終えました。情景が浮かんでキュンキュンします。。 (5月1日 7時) (レス) @page46 id: a428b66a33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:キキララ | 作成日時:2023年11月19日 17時