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その後私は問いかけた。
「深澤くん」
「ん？」
久々に見て聞いた、優しい表情と声。
胸が鳴った気がしたのは、それが懐かしいからかな。
「もしかしてだけど、あのおばあちゃん助けた日って、中間テストの1日目？」
「え、何で？」
「5月で制服着てたって言ってたし、深澤くんが遅刻してたのその日以外記憶にないからそうかなって」
また深澤くんは照れたように小さく頷いた。
「先生に理由説明しなかったの？」
「うんしてない」
「してよかったのに」
「いいよ。無事助けられて、しかも改めて感謝される以上に嬉しいことないし」
続ける彼から目が離せない。
「俺さ、中学ん時にばあちゃんが亡くなって」
「うん」
「喧嘩やめようって思ったのはそれがきっかけなんだけど。
何か、ばあちゃんに見えたんだよね。あのおばあちゃん」
全然似てはないんだけどと、優しい表情のまま深澤くんは呟く。
.
ーA、深澤くんのこと好きなの？
頭の中を駆け巡り続けていた由真ちゃんの指摘。
きっと、単純なことだったんだ。
渡辺くんの告白を振り切ったのも、
そもそもその時に一番に深澤くんのことが浮かんだのも。
深澤くんが好きだからだったんだ。
「深澤くん、」
「ん？」
「話せてよかった」
「Aさん…」
「今まで寂しかったし、しんどかった」
「俺も」
「えっ…？」
「嫌だった。翔太とAさんがって考えたら」
「うん」
でも今度は渡辺くんの顔が浮かぶ。
それは恋とかじゃなく、罪悪感に近い感情。
今じゃないって、深澤くんも思ってる。
これ以上渡辺くんを傷つけたくない。
「塾、ここなんだ」
「ここか。頑張って」
「ありがとう。じゃあね」
「うん。じゃあ」
癖で見送っていると、深澤くんは振り向く。
想いは通じ合ってるのに。
感情がごちゃまぜになって、私は急いで塾へ入った。
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キキララ(プロフ) - さあさんさん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけたんですね😊作者としてたいへん嬉しいです！ありがとうございます✨ (5月1日 9時) (
レス) id: 16c60907ce (このIDを非表示/違反報告)
さあさん(プロフ) - 面白くて一気に読み終えました。情景が浮かんでキュンキュンします。。 (5月1日 7時) (レス) @page46 id: a428b66a33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キキララ
| 作成日時：2023年11月19日 17時
