19 ページ19
(Fukazawa side)
Aさんが、驚きに包まれた目を俺に向ける。
「ごめんごめん、俺ばっか長々喋っちゃった」
なんか熱が入ってしまって慌てて誤魔化す。
「ありがとう。深澤くん」
でも彼女が繰り出した言葉は、眩しいぐらい真っ直ぐだった。
「えっ？」
「嬉しいよ。もちろん今頑張ってることは自分で決めたことだけど、確かに当たり前だって思ってた。
だからそう言ってもらえると、自分の頑張りを認めてもらえた気がする。それにもっと頑張ろうって思えたよ」
柔らかく微笑むAさん。
その表情に鼓動が速くなる。
「…ならよかった」
「やる気も引き出してくれるなんて感謝が足りない」
「あはは、何それ」
２人で笑った後、またAさんが「でもね深澤くん」と口を開いた。
「深澤くんも偉いってことに変わりはないよ」
「え？」
「過去と違って今はどうにでもなるし。大事なのは今じゃん」
押し付けるでも何でもなく、寄り添うようにAさんはそう言った。
どこまでも優しくて、頑張り屋さんで。
それで人のことも、自分のことも大切にするAさんを無意識に隣から見つめていると、彼女は止まって何かに目を映した。
「あ、クローバーだ！」
「四つ葉？」
クローバーと聞いてその数を問いかけたけど、Aさんは首を振る。
「一つ葉！」
ほら、と指差した方を見ると確かにあって、「本当だ」と反射的に驚く。
「クローバーって、葉の数で花言葉違うんだよ」
「へえそうなんだ」
「四つ葉は幸福」
「有名だもんね。一つ葉はなんなの？」
「初恋とか」
「…へえ、」
「…ドキッとした？」
「えっ、ううん」
.
ー好き。
お互い笑いながらしたそのやり取り。
初恋。
俺にとってのそれは、こうして突然始まった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 291人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
キキララ(プロフ) - さあさんさん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけたんですね😊作者としてたいへん嬉しいです！ありがとうございます✨ (5月1日 9時) (
レス) id: 16c60907ce (このIDを非表示/違反報告)
さあさん(プロフ) - 面白くて一気に読み終えました。情景が浮かんでキュンキュンします。。 (5月1日 7時) (レス) @page46 id: a428b66a33 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：キキララ
| 作成日時：2023年11月19日 17時
