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その子はぺこっと礼をする。
それに俺と渡辺も倣う。
「追試の教室って、ここで合ってる？」
綺麗な声だった。
「合ってるよ。てかAさんも、意外と赤点だった感じ？」
「あ、ううん。私1日目熱で休んだから」
「え、うそごめん」
焦る渡辺に彼女は優しく笑って「全然いいよ」とフォローする。
「ごめんごめん。俺らと一緒だとてっきり」
「…俺ら？」
「え？」
「あのさ、俺も別に赤点ではねえんだけど」
「へっ？」
俺が訂正すると、渡辺の目が点になる。
「いや、俺の場合は遅刻ですっぽかしたから追試なだけで」
「はえ？」
「まあAさんと理由は全然違うけど」
「ええ…じゃあガチめに俺だけかよ…」
項垂れる渡辺を見て、俺とAさんは目を見合わせる。
そしてどちらからともなく笑った。
.
「あー終わった…」
「終わったな」
「おつかれ様」
「Aさんも他の教科残ってないの？」
「うん、金曜日にあとの２つは受けたんだ」
「うわ大変だったね、じゃあ全員終われてよかった」
そう言うとAさんも頷く。
「おし、じゃあお疲れってことで帰るか」
「あ、もしかして部活は？」
「今日は休憩しようってことで」
「サボリな」
悪戯気に笑う渡辺に俺も笑った後、ふと気になった。
「あ、Aさんは部活行きたかったら全然いいし…」
喧嘩馬鹿出身の俺らに無理矢理付き合わせていい子じゃない。
「今日は私も休む」
「えっ？」
「ガチ？」
「うん。だから、一緒に帰ってもいいかな？」
「もちろんもちろん」
「ありがとう」
Aさんは笑顔になって、それに安心感が広がった。
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キキララ(プロフ) - さあさんさん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけたんですね😊作者としてたいへん嬉しいです！ありがとうございます✨ (5月1日 9時) (
レス) id: 16c60907ce (このIDを非表示/違反報告)
さあさん(プロフ) - 面白くて一気に読み終えました。情景が浮かんでキュンキュンします。。 (5月1日 7時) (レス) @page46 id: a428b66a33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キキララ
| 作成日時：2023年11月19日 17時
