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元々友達だった彼とは、
受験生になってから2人の時間を作れなくて距離ができてしまった。
嫌いで別れたわけじゃないから、彼を見るといい思い出ばかりが浮かんでくる。
「A」
「ん？」
「…ごめんな。受験の時、俺自分のことで頭いっぱいでAのこと考えられてなくて」
「謝ることじゃないよ。私もそうだったし」
「でも、他に色々できたよなって思って」
「本当に大丈夫。ありがとう。
あ、私ご飯取ってくるね」
気を遣わせないよう微笑んでから、私は彼の元を離れた。
.
気付けば午後10時が近づいていた。
そんな中、幹事をしてくれた一人が、
「今から二次会行こー！」
そう提案して、皆が再び楽しそうな表情を浮かべる。
「ねね、Aも行く？」
「あーごめん、私はいいや」
「そっかあ」
「ごめん、またね」
二次会の途中で帰るほうが申し訳ないし、10時までに連絡しないと。
友達の誘いを断って、照に電話をかけた2〜3コール目。
「A」
また元彼に声をかけられて、慌てて電話を切った。
「ん？どしたの？」
「２人で飲み直さない？」
「あ、ごめん私…」
「1杯だけ」
断るのが申し訳なくなるような真っ直ぐな瞳と重なった。
でも帰んなきゃいけない。
「いやでも…」
「ダメ？」
.
「Aちゃーん、お客さんだよ」
同級生のその声がした方を見る。
.
「…照」
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作者名：キキララ
| 作成日時：2023年10月20日 17時
