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今日もいつも通り部活をする。
私はテニス部だけど、一人だけ特に慕ってくれる後輩がいる。
「A先輩！お疲れ様です！」
向井康二くん。
そう、女の子じゃなくて男の子。
中学の時に県大会で優勝経験もあるスーパー1年生だけど、ここまで親しげなのが通常運転。
そんな彼と肩を並べトンボをしていると、向井くんはふと周りを気にしてか見渡してからこう言葉を放った。
「先輩」
「ん？」
「好きです！」
流石に、手が止まった。
「え？」
「だから俺、A先輩が好きです」
「ちょっと待って、どしたの急に」
「急じゃないですよ」
「え、」
「まあ言ったんは急ですけど、思ったんは急じゃないです」
彼が嘘をつくタイプじゃないことは分かってるつもり。
でもここまで直球なのがびっくりする。
「先輩、俺のこと嫌いですか？」
「いや嫌いとかじゃ全然ないけど…後輩としか思えない、のはある」
「知ってます」
想定外の返事に、反射的に向井くんを見つめた。
「でもそこから脱却してもらえるように、これからも伝えます！」
向井くんが、そう真っ直ぐ誓った。
そこからの向井くんは、普段のゼロ距離に加えて、
「先輩、日曜オフなんでご飯行きましょうよ！」
「今日一緒に帰りません？」
私への好意をオープンにしてくるようになった。
「はいはい、また今度ね」
「今日車で来てるから」
その度に私はそうやってあしらうけど、
日に日に向井くんの存在を無視できなくなっていた。
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作者名：キキララ
| 作成日時：2023年10月20日 17時
