#8「先輩に追いつけるまで」×Orange ページ29
(You side)
「おはよーA」
朝からその声に呼ばれたことに鼓動が高鳴りながらも平常心を装う。
「おはよ」
クラスメイトで、思いを寄せている涼。
「昨日まあまあ電話してたよな?」
「あはは、3時間ぐらいしてたっけ?」
「そうそう!ごめんな寝落ちして」
「本当だよ」
そう返すと、涼が私を覗き込む。
「もうちょっと電話したかった?」
目鼻立ちの綺麗なその顔。
「う、うるさい。そんなこと言ってないでしょ」
「えー照れてるだけでしょ?」
「違うから」
あー、こんな下手なことある?
すると涼は、
「素直に言ってくれたら嬉しいのに」
そう言い残して、私の元から離れた。
「ねえ朝からあんたたちは何?」
涼が離れてから、女友達にそう声を掛けられる。
「何って何」
「本当ラブラブだよねってことに決まってるでしょ」
「そんなことないよ」
「あるよ、好きなのバレバレだし。もう告っちゃえばいいじゃん」
「うーん…」
告っちゃえばいい。
その言葉に困ったように笑うと、別の女子数人と楽しそうにしている涼を目で捉えた。
涼も気付いて、ん?とどこか微笑みながら私を見る。
私は胸の奥が少し痛くなりながら目線から外す。
涼は友達以上、向こうももしかしたらそうとは思っていながらも、何故かあと一歩が踏み出せない。
それがどうしてかは、自分でも分からなかった。
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作者名:キキララ | 作成日時:2023年10月20日 17時