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「いった!!」
「お前よくもAのこと傷つけてくれたな?」
「痛いって、放せ、」
「このクズ。よく見たら大してイケメンでもねえな」
「…は?」
大介のその言葉に腹が立ったのか、何とか離れて手を自由にする宇佐見くんに、
「俺のこと怪我させてもいいけど、お前処分喰らうよ?」
「…」
「そうなったら俺包み隠さず全部話して広めるけど」
次いで大介に睨まれた友達2人は怖気づいて教室から出ていく。
そこで宇佐見くんを大介は自然に解放し、裏切られたと感じた彼は2人の後を追った。
.
「ありがとう」
そう言った時には、普段の大介に戻っていた。
「…知ってたから、私にやめとけって言ってくれたの?」
「…ごめん。直接聞く羽目になるなら、ちゃんと話せばよかった」
「ううん、私のこと気遣ってくれたんだよね。私こそ大介の優しさに甘えてひどいこと言ってごめん」
「謝ることない。
それと、…俺無条件に優しいわけじゃないよ」
大介と目線が重なった。
「好きだから優しくしてる」
「…え?」
「ずっと好きだった」
「…嘘、」
「初恋だから。俺の場合まだ終わってない」
男子としては高くないとはいえ、いつの間にか背も抜かされて。
泣き虫だった大介をいつも庇っていたのに、いつの間にか守られていた。
「…私でいいの?」
「Aがいい」
迷いなく紡がれた言葉で、また私を守ってくれた気がした。
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作者名:キキララ | 作成日時:2023年10月20日 17時