. ページ26
「私今年の運使い果たした…！」
その日の帰り、偶然大介と一緒になって肩を並べる。
「宇佐見くんすごい優しい人だった」
「よかったね」
「そんなに話したことない私にもオープンだし。やっぱ人気な理由分かるな…」
「そっか」
大介は優しく話を聞いてくれた。
.
「おはようAさん！」
「お、おはよう。宇佐見くん」
「ねえ、Aちゃんって下の名前で呼んでもいい？」
「えっ？」
「ダメ？」
「…そんなわけないけど」
「よかったぁ。よろしく、Aちゃん」
名前を呼ばれるだけでドキッとする。
席が隣になってからたった数日にも関わらず、宇佐見くんはそうして親しげに接してくれるようになった。
だけど、
「A」
大介に、誰にも話を聞かれたくないのか廊下の隅に呼び出された。
「どうしたの？」
「…宇佐見のことだけど」
「宇佐見くんが何？」
「あいつはやめとけ」
その言葉に耳を疑う。
「え、何で？」
「…」
「宇佐見くんはいい人だよ」
「とにかくやめとけって」
「だから何で？」
「…」
大介はただやめとけと言うだけで、理由は話してくれない。
それに私は少し苛立ってしまった。
「…やめとけって、何でそんなこと言われなきゃいけないの？」
「…A、」
「私なんかじゃ宇佐見くんと釣り合わないってこと？」
「違う」
「違わないじゃん。分かってるけど。
でも大介には言われたくなかった」
何も言い返さない彼を一瞬しか見れず、私はその場から離れた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 330人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：キキララ
| 作成日時：2023年10月20日 17時
