#7「初恋の真実」×Pink ページ25
(You side)
片想いは、
特に高校生のそれは、眺めているだけでよかった。
だったけど、
「ねえ、A」
「ん？」
「…宇佐見のこと好きなの？」
分かりやすく体が強張る。
クラスメイトで幼馴染でもある大介に聞かれたそれは全て事実だった。
「…え、何で？」
「ずっと見てるから」
付き合いの長い大介には誤魔化しにしかならない。
「…告白とかしないの？」
「しないよ。宇佐見くん人気者だし、見てるだけで充分」
「…そっか」
それに私にとっては初恋だから、いい思い出になればそれでいい。
大介は私の気持ちを馬鹿にしたことは一度もない。それが本当にありがたい。
そうやって大介に唯一気付かれてから暫くしたある日。
「えっ、」
席替えが行われて、
「Aさんよろしくね？」
「う、うん」
「あんま話したことないから話してみたかったんだ」
「え、そうなの？」
「うん」
宇佐見くんと隣の席になった。
話してみたかった、そんな言葉を放ってくれたことに純粋に嬉しくなる。
「それにAさん頭いいよね？」
「え、全然。そんなことないよ」
「またまた。もし俺が宿題忘れちゃったら見せて！」
「う、うん。いいよ」
「やった、ありがと」
宇佐見くんが私だけに笑顔を向ける。
それにどうしても胸が鳴った。
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作者名：キキララ
| 作成日時：2023年10月20日 17時
