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「何なのお前？」
「それこっちの台詞な？」
ふっかが即答する。
「お前年上に向かってその態度…！」
「俺割と顔広いんすよ。だからAから身引かなかったら、あなたの同級生とか先輩に口コミ広げますけど大丈夫ですか？」
ふっかの言葉で、先輩は悔しそうな表情を残しながらも離れていった。
「…ふっか、」
「あー怖かった…はは」
笑顔を見せる彼。
「…だよね。平気なわけなかったよね」
「…え？」
「ごめん」
申し訳なさで無意識に下を向いたおでこに、
ふっかが優しく唇を落とした。
思わず顔が上がって重なった瞳は、見慣れているものと初めて見るものが混ざっていた。
「やっと気付いた」
「えっ…」
「でも俺のほうこそごめんね、ずるくて」
「…それ、私のこと、」
「うん、前からそういう風に見てる。
少なくともこの状況チャンスと思っちゃってるぐらいにはね」
客観的に語られると確かにずるいんだろうし、本人もそう言ってるけど、
それでもふっかが繰り出す口調も、少し前のその行動も、どれもが優しい。
「俺待つよ」
「え？」
「すぐ別のやつと付き合うってAはなんないでしょ。分かってるよ」
「ふっか…」
「俺のこと恋しくなったら言って？今更片想いがしんどいとかなんないから。あ、これ嫌味ね？」
悪戯気に笑ったふっかが、自販機のほうへ一人歩いていく。
私に気を遣わせないようにそんな言葉を放ったことぐらい、私も分かってるよ。
「…そんなに待たなくていいよ」
そう呟くと、ふっかが足を止める。
「ん？何か言った？」
「…何も言ってない」
そう返して、ジュースを買うふっかの隣へ並ぶ。
「A」
「ん？」
彼が微笑んだ。
「聞こえてたよ。ありがとう」
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作者名：キキララ
| 作成日時：2023年10月20日 17時
