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途端にくだけた言葉が返ってきて、意識せずとも彼女の目を見れた。
「こちらこそというか、お世話になってるのは私だし」
恥ずかしそうな笑顔を見せたその子。
その笑顔に、すべてを持っていかれそうになる。
誰かにこんな風に感情を抱いたことなんて当然ない。
「...姉も、すごくいい子だって言ってたよ」
別の意味で出来た緊張を埋めようと言葉を発すると、彼女は「よかった」とホッとした顔を見せる。
「私こんなだから、無愛想だと思われてないかなって心配してたんだ」
「分かるよ。僕も人見知りだからすごく心配になる」
「だよね。何か私と似てるなって思ってた」
「え、そうなの？」
「うんまあ」
また彼女ははにかんでから、
「でも、話しかけてくれてありがとう。
ラウールくん含めこのクラスの皆は優しいから、すごく嬉しい」
.
そう言うAさんも、ずっと優しかった。
クラスメイトは言うまでもないけど、僕なんかにも感謝してくれてるんだな。
それがすごく嬉しくて、目が離せなかった。
「...あ、あとでさ、玉ねぎ切ろう！目痛くなるから、２人で手分けして」
「うん。そうだね」
また微笑まれてドキッとして、僕は目線を外した。
.
家に帰って部屋のベッドにダイブし、今日の出来事を思い返す僕。
ぎこちなかったけど。
随分ぎこちなかったけど。でも、
「話し、かけれた...！
ラウールくんって、名前も呼んでもらえた...！」
一人で喜ぶ。
僕も本人の前で、ちゃんと名前を呼べるようにならなきゃ。
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作者名：キキララ
| 作成日時：2022年12月1日 17時
