42 ページ42
(You side)
「終わったー!」
またラウールくんと2人図書室で勉強をしている時、私の読書感想文の宿題がようやく終わって体を伸ばす。
「よかった!これで安心だね」
私にそう優しく言うラウールくん。
それでもまだ帰る気にはなれなくて、私もラウールくんも夏休み明けテストの勉強を始める。
.
最近、
やけに、彼のことを意識してしまう。
そもそも一緒に宿題しようって、深澤先輩が誘ってくれたんであって。
その先輩はいないし宿題も終わったのに、ラウールくんも帰る素振りを見せないのが嬉しいんだ。
...何でなんだろう。
時々ラウールくんを横目で見ながら、一人で考えていた。
.
いい時間になり、いつも通り当たり前のように肩を並べ帰りだす。
分かれ道が近づいた、そんな2人だけの空間で。
「Aさん」
「ん?」
「もし空いてたら...ここの近くである花火大会、一緒に行かない?」
そんな嬉しい言葉を綺麗な瞳と共に向けられた。
それなのに私は似合わない笑顔を控えめに浮かべて言う。
「でも、」
「ん?」
「ラウールくん、好きな人と行かなくていいの?」
.
「行きたいよ」
「だよね、だったら...」
「好きな人と行きたいから誘ってるんだよ」
.
え、
「...もし応えてくれるなら来てほしい。入口で待ってるから」
ラウールくんがこの場を去る。
時が止まったようになる私。
びっくりしすぎて、しばらくそのまま動けなかった。
205人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:キキララ | 作成日時:2022年12月1日 17時