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(You side)
「...Aさん」
「ん?」
「お姉ちゃん、...彼氏に呼び出されて先帰ったって」
「仲いいんだね。深澤先輩と彼氏さん」
ラウールくんは安心したように笑って「そうなんだよね」と言った。
"その人にとっては、家族愛とか人として好きっていうのが最上級なだけなんだと思う。
皆と友達でいたいっていうのも、素敵だしね"
本当に、素敵だなって思ったんだ。
ラウールくんの考えが当たり前になるべきだとは思う。
それでも心が温かくなったんだ。
それに、
"...現に今好きな人いるから"
"僕ともよく話してくれるし"
好きな人いるのに私といていいの、って言葉には、
"いいよ。そこは何も問題ないから"
ラウールくんは私と同じ人見知りで、不特定多数の人と仲良くするタイプじゃない。
そこは何も問題ない、って...
それにあの綺麗な眼差し。
...いや。
私には阿部先輩のことがある。これだって勘違いかもしれない。
「...てか、読書感想文!」
「本当だ、全然進んでない」
「僕実はさ、本もまだ決められてないんだよね」
「そうなの?私も一緒」
「じゃあ僕たち全然どころか何も進んでないじゃん」
ラウールくんの言葉に2人で笑う。
「迷うよね」
「わかる」
「そうだ!お互いの本選ぶのってどう?そしたら読めそう」
「いいね!じゃあAさんに合いそうなの選ぶね」
「私もラウールくんにぴったりなの選ぶ」
私にしてはいい提案ができた気がする。
その日はお互い選び合って、途中まで読んで終わった。
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作者名:キキララ | 作成日時:2022年12月1日 17時