レモンとストロベリーとラズベリー(白×緑) (ページ22)

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(Raul side)

「ラウールくんおはよう」

「Aさん！おはよう」

朝、学校の門が近づいている時Aさんに挨拶されて嬉しくなってたら、そのまま肩を並べられる。

それがまた嬉しいし、Aさんもどこか表情が明るい。

「何か、いいことあったの？」

そう聞くと、「実は、」と少し声を小さくして彼女は話し始める。

「昨日、阿部先輩に私のこと全部話したんだ」
「あ、うん」

あの光景が一気に浮かび上がる。同時に変な汗もついてきた。

「先輩、俺らのとこに逃げてきてくれてありがとう、偉いねって言ってくれたんだ」

いい顔をしているのはそれだからか。

途端に苦しくなる。

「...阿部先輩、優しいんだね」
「うん。本当に優しい。
でも、先輩に話そうと思えたのはラウールくんと深澤先輩のおかげなんだよ」
「...え？」
「２人が受け入れてくれたから、話す勇気が持てた。ありがとう」
「ううん。僕は何も」
「そんなことない。私は救われたから」

Aさんは決して無邪気なだけじゃない。

こうやって僕にも感謝してくれる。

こういう所が好きなんだと思う。

.

ただ、ここまで嬉しそうに阿部先輩のことを話すのは、

僕がAさんに向けている気持ちが、Aさんから阿部先輩へのものときっと同じだからなんだろうな。