レモンとストロベリーとラズベリー(白×緑) (ページ21)

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「えっ？」
「1年待たなくても、一緒に飲めるんでしょ？」

阿部先輩はニコッと笑う。

その笑顔に全てを撃ち抜かれる。

だから呆然としていると、先輩の表情はあっと慌てたものに変わった。

「ごめん、そういうことじゃないよね」
「いえ。なんか嬉しいです」
「本当？なら良かった」

そして「あと...」という言葉と優しい顔と共に、綺麗な三白眼はこっちを上目で見つめる。

「A」
「...は、はい」

「俺らのとこに、逃げてきてくれてありがとう」

「阿部先輩...」

「本当にすごいよ。やめる決断して、逃げて、中学受験で大学まで行けたのをここを選んで受験したんでしょ？

全部嫌になって閉じこもってしまっても仕方ないのに、こうやって俺とか色んな人とも交友関係築いて。偉いね。偉すぎる」

.

先輩の顔が涙で潤む。

「泣かないで」

ああ、

阿部先輩が好きだ。

こんなにも優しいこの人を、好きにならないほうが無理だ。

.

「Aに会えてよかったよ。たとえ同級生じゃなくても」

「...私もです」

「ふふっ。ありがとう」

私の言葉に含みがあるなんて、この人は全く気付いていない。

それが切なくてドキドキした。