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(You side)
履き慣れない下駄で、ラウールくんの元へ走る。
名前を呼んでくれる彼に、息を整えてから説明する。
「お母さんに手伝ってもらって浴衣着れたはよかったんだけど...下駄だから思ったより時間かかって、入口も間違えて、戻っても人多くて見つけられなくて...遅くなってごめん」
「ううん。僕も配慮足りなくてごめんね」
「ラウールくんは悪くないよ」
「足は、大丈夫？」
「大丈夫だよ」
目の前のラウールくんを見たら、ここに来るまでの苦労なんて全部吹き飛んだから。
いつもと違う雰囲気を感じるのは服装と髪型からだろうか。
ただそれでも変わらない眩しい瞳に、全てを吸い寄せられそうになる。
「...ラウールくん」
「...ん？」
「私、しなくていいような辛い経験してきた。
どん底で、この世界の中で自分が一番可哀想だって何回も思った。
でも、ラウールくんと出会って、自分が一番幸せだって思えるようになったんだ」
辛かった当時を思い出して目が潤む。
それでもすぐ、ラウールくんのことが頭に浮かぶ。
ラウールくんとの出来事も、彼の緊張してる姿も、
気持ちを伝えてくれた時の真剣な表情も全部。
だから踏み出したい。
「好きです...
私でよかったら、気持ちに応えたいです」
「うん...！
ありがとう。こちらこそ、よろしくね！」
ラウールくんは顔を真っ赤に染めながら喜んでる。
そうして私を笑顔にさせてくれた。
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作者名：キキララ
| 作成日時：2022年12月1日 17時
