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(Fukazawa side)
「そっか引き下がったんだ...」
Aと照が付き合ったと知った次の日、俺は栞ととあるカフェに来て全部話した。
「未練とかないの?」
「ないことはないけど、あの2人に割って入ってどうこうしようなんて気持ちはもっとない」
「そっか」
「前から、頭では分かってたんだよね。Aにとって俺そういう対象にはならないって」
Aが照と先輩のことを聞いて動揺したのから、
いや、それより前から気付いてた。
他の女子とたまたま話している中Aを見つけて駆け寄った時、Aの第一声は、あの子と話してなくてよかったの?だった。
それを聞いて、無難な返事をして力なく笑うしかなかった。
悟ったんだ。俺が来て嬉しいという感情が1番じゃないんだって。
「それにさ」
「何?」
回転寿司での出来事を打ち明ける。
「不安がってるというか動揺してたA見て俺、照は、モテるから、Aは俺にしとけばって言ったんだけど、
本当は、
照は、Aだけが好きだから大丈夫だよって言おうとしたんだよね」
「え、それマジ?」
「マジ。笑えるもん。
そんな感情が最初に浮かぶ男がさ、恋愛で勝てる訳ねえよなーって」
ただ、Aが後悔しなかったんならよかった。
相手が俺じゃないんなら、照だったならせめてよかった。
でも、
目頭が熱いの何でだろ。
「ふっかは偉いよ」
「俺イケメンでしょ?」
「そうとは言ってないけど、でもイケメンだよ」
「サンキュ」
栞が笑ってくれたのが、せめてもの救いに感じた。
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作者名:キキララ | 作成日時:2022年8月22日 20時