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「...じゃあ、」
「うん」
「全然まだまだだけどごめんね」
「ふふっ、緊張してんの？」
「そりゃするよ！楽譜貸してくれた人に聴かせるんだし」
暫くして、その約束の日を迎えた。
照に聴かせると約束してから特に精一杯練習したなんて言えないけど。
だけど初めの音を奏でると、ちょっとずつ自分のものになる。
照に聴かれているのも程よい緊張感として作用して楽しくなる。
この曲弾けてよかったな。
照に聴かれてよかったな。
あっという間に中盤に差し掛かる。
"分かる、あれは弾いててめっちゃ楽しかった"
照と共感した、1番好きなあの中盤。
そこも抜けて、夢中で弾き続けた。
気が付けば最後の小節まで来ていた。
照の優しい拍手が、どこか夢みたいな時間から起こしてくれた。
「...こんな、感じ、です」
「ふはっ、何それ」
彼が目を細めて笑う。
.
「聴けてよかった。なんかすごい幸せな気分になれた」
その言葉が心を明るくしてくれる。
「本当？嬉しい」
「うん。何て言うんだろ、上手なんだけどそれだけじゃないっていうか。
とにかくAのピアノめっちゃ好き」
「...何か、照れるかも」
「えっ、あごめんごめん、純粋にいいなと思っただけだから」
「照。ありがとう」
私も純粋にお礼を伝えたら、照は目線を逸らしながらも頷いてくれた。
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作者名：キキララ
| 作成日時：2022年8月22日 20時
