僕らの物語(黄×紫) (ページ29)

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これをきっかけにAと仲良くなって好きになった。

関われば関わるほど好きになった。

だけどAは違った。

恋という機能が体に備わっていないみたいに、意識のひとつもしてくれなかった。

それを呼び覚ますという言い方は変だけど、

気づいて欲しくて俺は、いつしか冗談のトーンでAに恋めいた言葉を繰り出すようになった。

気づいて欲しかったし、

俺も俺で溜め込んだものを消化しないとやっていけなかった。

それから３年。

「...照」

Aと照がデートしたと聞いて確かめたら、

それ以上の事実が返ってきた。

.

「実はさ、...幼稚園の初恋の女の子、Aなんだよね」

「...え？」
「たまたま再会してびっくりして。でもAは覚えてないし、俺も最初は本当にびっくりしただけだったけど、

Aのこと好きになったんだ」

照が羨ましくなった。

冗談しか言えずに全部スルーされる俺と違って、照はそんなキャラじゃないってAも分かってるから、間違いなく受け止めてくれる。

照。

俺の初恋の女の子もAなんだけどな。

幼稚園じゃなくて高校生だけど。

なんて言えなかった。