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ふっかは目を見開いて、
「何でそうなんの？」
「ただでさえ傷つけてるのに、振ったらもっと傷つけてしまうから」
「そんなのただの同情じゃん。もっとちゃんと考えろよ」
ふっかの意見は意外だった。
どこか、Aがそう思うならって言うんじゃないかと予想してたから。
だけど、
「...傷つけないほうが、私も楽になれるんだよ」
照のことは嫌いじゃない、むしろ人として好きだ。
だったら、
...私は、そうした誰かの後押しを求めてるだけ。
曖昧な自分の答えに、第三者の勧めで自信を持ちたいだけ。
「...他の飲み物取ってくる」
色んなものから逃げたくて立ち上がる。
立ち上がったはずなのに、
右手に体温を感じたかと思えば、私の体はベッドに横たわった。
そして視界に映るのは、
天井と、真剣な目をしたふっか。
.
「...Aは好きって言われたら誰とでも付き合うの？」
「...え？」
「だったら、照じゃなくて俺にして」
「何言って...」
「俺もお前が好きなんだわ」
その言葉の次、彼に唇を重ねられる。
何度も何度も。
まるで、ずっと触れたかったというような感触。
この彼はふっかだと思いたいのに思いたくない。
信じたくなかった。
彼の本音に気付きたくなかった。
「ふっかっ...ん、」
力じゃ敵わないから名前を呼んだら、その隙をついて舌を絡められる。
放してと振り絞って意思表示しても簡単にスルーされて、従うしかない。
でも、
体は、頭で考えていることと反対の意思を示す。
.
「A、...泣いてる...？」
ふっかはすぐ気づいて唇を離す。
「ごめん。ごめんな...」
そう繰り返して私の髪を撫でるふっかも、泣きそうに見えた。
彼は部屋を出て行った。
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作者名：キキララ
| 作成日時：2022年8月22日 20時
