３５．溶けたアイス ページ37
「猫、好きなのか？」
真顔でそう尋ねてくる彼。
驚いたせいであんぐりと口を開けたままだった私ははっとする。
『い、いつから見て…』
「2匹目が来たくらいから」
『声かけてよ！！』
ぶわっと顔に熱が集まる。
本人は大して気にしていないかもしれないけれど、1人で猫に話しかける姿を見られたことは中々に恥ずかしい。
しかもよりによって轟くん…いやでもクラスメートに見られるよりはマシか…。
「猫、好きなんだな」
『…うるさいな、好きだよ』
今度は問いかけじゃない。
その言葉に私は小さく溜息をつきながら膝に手をついて立ち上がった。
『なんで制服？』
ふと疑問を口にする。今日は図書室は解放していないし…彼は休みの日でも制服を着ているのだろうか。
いやまさかそんなわけがないんだけれど。
「ああ…仮免試験が控えてるからヒーロー科だけ普通に授業やってんだ」
そういえば、という表情を浮かべた彼がそう話す。
なるほどね。ヒーロー科も大変だなあ。
呑気にそんなことを思いながらも、その辺に放っておいていたビニール袋を手にして───…
『あーーっ！アイスが！』
本日2度目の私の大きな声に轟くんはビクッと肩を揺らす。
呑気に猫と戯れている場合ではなかった。ただでさえこの暑い夏にアイスを持ったままだらだらしているのも馬鹿だというのに、日に照らされた熱々の地面に置いたままだった。
ご褒美にと買った季節限定の某ハーゲンダッツはどろどろになっているだろう。
「アイス？」
『…アイス、買ったの。すっかり忘れてた』
さっさと戻って冷凍庫に入れておこう。
そうすればまたなんとか元に戻るだろうし、今日寝る前には食べれそう。よし、猫ちゃんもどっかいっちゃったし。
『バイバイ轟くん、仮免頑張っ───…』
くるりと彼に背を向けようとした時、ぱっと手を掴まれた。
こんなに暑いというのに彼の手はひんやりと冷たい。
じゃなくて！！！
『っな！』
「冷やそうか？」
それ、と轟くんが指差すのは私の持っているコンビニの袋。
『……………………いいの？』
こうして私はまた彼に借りを作ってしまう。
続く
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優兎 - いろいろヒロアカの小説って神作品多いよね(褒めてる) (2021年10月17日 22時) (
レス) id: 0546f8eab3 (このIDを非表示/違反報告)
涼宮(プロフ) - シズク。@ｲｪｲ！さん» ありがとうございます！ほんと羨ましいですね〜！百ちゃんとお友達！ (2021年10月3日 19時) (レス) id: a21cd312f2 (このIDを非表示/違反報告)
シズク。@ｲｪｲ！ - めっちゃおもろい！そして百ちゃんと友達っていいな〜夢主！ちょっと立場変わってくれないかn((殴 更新、頑張ってくださいｯｯ！ (2021年10月3日 18時) (レス) @page16 id: 7ae2ca5e7c (このIDを非表示/違反報告)
涼宮(プロフ) - 彩さん» ありがとうございます！続きも後々公開していくつもりなのでよろしくお願い致します！ (2021年10月3日 18時) (レス) id: a21cd312f2 (このIDを非表示/違反報告)
彩 - とても面白くて一気読みしちゃいました！続きがとても気になります！更新頑張ってください！ (2021年10月3日 18時) (レス) @page16 id: 7d36b12761 (このIDを非表示/違反報告)
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