１８．パスケース ページ20
もう用のない私は家に帰るのみ。
この間のようにしれっと隣に並ぶ轟くんを見上げた。
『ついてこないでよ』
「でも俺も同じ方向だし」
『別に一緒に帰る必要は無いじゃん』
駅の改札を抜け、私は1人で先を歩く。
私の言葉に納得したのか、轟くんは私の数歩後ろを歩いていた。
電車に乗ってからも、ドアの元に立つ轟くんと座って漢文を読む私。同じ車両にいるけど会話を交わすことは無かった。珍しい、気を使ってくれているのだろうか。
勉強をしているとあっという間に彼の最寄りに到着する。
チラ、と私の方を見てきたのが分かったけれど、私は教科書に視線を落としたまま顔は上げなかった。
(…別に、一緒に帰ってるわけじゃないし)
ほんの少しだけ罪悪感を感じながら勉強に集中しようと首を横に振った時、地面に落ちたパスケースを見つけた。
さっきまで轟くんが立ってたところ…
『って、』
私は慌ててそのパスケースを拾うと電車を降りる。
『轟くん！！』
私の大きな声に彼以外の人もこちらを振り返るから恥ずかしくなった。
当の本人が振り返るのとほぼ同時。
プシューという音と共に電車のドアが閉まる。
『パスケース、落としてる…』
「え…」
片手に教科書を持ったまま。
逆の手でパスケースを掲げて見せると、彼は申し訳なさそうにこちらへと踵を返した。
「悪ぃ、俺のせいでお前のことここで降ろしちまった」
『いいよそれくらい。待てば』
せいぜい20分、勉強していればあっという間だ。
ベンチに腰を下ろした私に、何かを考えるようにじっと黙っていた轟くんが隣に座った。
『…は？』
「暗いから送る」
『いや、何言ってんの。テスト前なんだから家帰って勉強しなよ』
「今日1日やらなくてもそれなりに点数取れる」
『…ほんとにいいって。歩きじゃないんだから』
私の言葉に黙り込む轟くん。
私は大丈夫だって言ってんのに。
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優兎 - いろいろヒロアカの小説って神作品多いよね(褒めてる) (2021年10月17日 22時) (
レス) id: 0546f8eab3 (このIDを非表示/違反報告)
涼宮(プロフ) - シズク。@ｲｪｲ！さん» ありがとうございます！ほんと羨ましいですね〜！百ちゃんとお友達！ (2021年10月3日 19時) (レス) id: a21cd312f2 (このIDを非表示/違反報告)
シズク。@ｲｪｲ！ - めっちゃおもろい！そして百ちゃんと友達っていいな〜夢主！ちょっと立場変わってくれないかn((殴 更新、頑張ってくださいｯｯ！ (2021年10月3日 18時) (レス) @page16 id: 7ae2ca5e7c (このIDを非表示/違反報告)
涼宮(プロフ) - 彩さん» ありがとうございます！続きも後々公開していくつもりなのでよろしくお願い致します！ (2021年10月3日 18時) (レス) id: a21cd312f2 (このIDを非表示/違反報告)
彩 - とても面白くて一気読みしちゃいました！続きがとても気になります！更新頑張ってください！ (2021年10月3日 18時) (レス) @page16 id: 7d36b12761 (このIDを非表示/違反報告)
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