１６．満員電車 ページ18
(同じ路線なの…)
ちょうど帰宅ラッシュ。仕事帰りのサラリーマンや学生で車内は混み合っていた。
単語帳をカバンから取り出すタイミングを逃した私は、ただ黙って大勢の人波に揉まれている。
「悪ぃ、大丈夫か？」
『…うん』
きっとうちのクラスの女子なら羨ましがるであろう状態で。
平均的な身長のはずの私もこの車内では埋もれてしまう側なわけで、さっきから背後に立った轟くんの胸元から私の頭が離れてくれない。
しょうがないけど…、
(最悪…早く帰りたい…)
私は轟くんのファンでもなんでもない。
私からすればその辺の男子も轟くんもなんら変わりないのだ。
というか、この状況を誰かに見られることが私は怖い。あることないことを言われ、轟くんに近づく非常識ビッチな女だなんて裏で言われたらどうしよう。翌朝には靴に画鋲が入っているかもしれない。
もしそんなことになったら間違いなく私は学校を辞める。
勝手な被害妄想を膨らませる自分に、心の中で(ないか…)と呟いた。
素数でも数えてよう。
2、3、5、7、11、13、17、19、23…
「A」
『ヒィ…』
目を閉じていた私は、耳元で名前を呼ばれてビクッと肩を竦める。こいつ…私の弱みでも握るつもりか。
「次の駅で降りる」
『あ、そゆこと……別に報告とかしなくていいし勝手に降りればいいのに…』
「一緒に帰ってるのに無言で降りるわけにも行かないだろ」
『はい？一緒に帰ってる？』
いつからそんな仲になったの私たち。
…とまでは言わないけど。こっちは一緒に下校していた覚えは無い。
偶然方向が一緒で偶然路線が一緒だったただの同じ学校の人、の間違いでしょ？
「じゃあな、A」
『…バイバイ』
律儀に私にそう告げると、人混みをかき分けて降りていく轟くん。
色々とツッコミたい思いが頭の中で渦巻いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 719人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
優兎 - いろいろヒロアカの小説って神作品多いよね(褒めてる) (2021年10月17日 22時) (
レス) id: 0546f8eab3 (このIDを非表示/違反報告)
涼宮(プロフ) - シズク。@ｲｪｲ！さん» ありがとうございます！ほんと羨ましいですね〜！百ちゃんとお友達！ (2021年10月3日 19時) (レス) id: a21cd312f2 (このIDを非表示/違反報告)
シズク。@ｲｪｲ！ - めっちゃおもろい！そして百ちゃんと友達っていいな〜夢主！ちょっと立場変わってくれないかn((殴 更新、頑張ってくださいｯｯ！ (2021年10月3日 18時) (レス) @page16 id: 7ae2ca5e7c (このIDを非表示/違反報告)
涼宮(プロフ) - 彩さん» ありがとうございます！続きも後々公開していくつもりなのでよろしくお願い致します！ (2021年10月3日 18時) (レス) id: a21cd312f2 (このIDを非表示/違反報告)
彩 - とても面白くて一気読みしちゃいました！続きがとても気になります！更新頑張ってください！ (2021年10月3日 18時) (レス) @page16 id: 7d36b12761 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
