【男主】あー...えっと今吉の弟です... (ページ16)

今日:2 hit、昨日:6 hit、合計:57,206 hit

p12 蠱毒ページ16

古来の呪い(ﾏｼﾞﾅｲ)の方法で

蓋のある壺に雑多な虫を入れるんだ

分量は知らんが

底が埋まるくらいじゃねぇかな』

「うわ、気持ち悪い...それって」

口を挟むなよ

まあいい

『黙って話を聞け折角説明してやってんだ』

とにかく最後まで話し切らんとやしな

「( 'ω')ｳｨｯｽ」

『その状態で蓋を閉め

そこの壺みたいに札で封をする

犬を使用した呪術である犬神

猫を使用した呪術である猫鬼などと並ぶ

動物を使った呪術の一種だな

代表的な術式としては

ヘビ、ムカデ、ゲジ、カエルなどの百虫を

同じ容器で飼育し、互いに共食いさせ、

勝ち残ったものが神霊となるためこれを祀る

とかそんなんだった気がする』

「それがどうやって呪いになんだよ」

そうだな…たしか

『この毒を採取して飲食物に混ぜ

人に害を加えたり、思い通りに福を得たり

富貴を図ったりするんだったと思う。

まあ、人がこの毒に当たったときの

症状は色々あるみたいだけど

「一定期間のうちにその人は大抵死ぬ。」

ってのは変わらんな』

まあ、浅い知識しかねえけどな

「へえ、マジかよ怖ぇな…」

火神のリアクションが取れたところで

俺は壺を手に取る

壺は思ったより重かったが

恐らく蠱毒用の少し周りが厚いものなのだろう

俺は壺に耳を当て中身の具合を確かめる

『まあ、封さえ解かなきゃ大丈夫だし

そまそも虫なんて…ﾀﾋ…んで』

ナメていた

普通の虫ならﾀﾋぬ筈だ

だがそれは

あくまで“普通”の虫の話

これは蠱毒だ

『やばい』

直感的にそう感じ

壺を床に置く

「どうかしたのか？」

どうかしたも何も

『中の虫…生きてる…しかもデカイのが…』

おそらくムカデだろう

内壁を掻く音からしてそうだ

そう自分の中で確信した瞬間

背中に悪寒が走った

『早く出よう』

俺はそれだけ呟いて

先程見つけた懐中電灯に

単一電池を2本入れ火神に渡す

「おわ、いいのか？」

『俺はこいつ(自転車用)でいい

それより扉は開いたのか？』

火神はその質問に顔を顰めた

こいつの反応からして開いてないのだろう

「その…わりぃ…外に何かあるみてぇで」

仕方ない

ここにいても仕方ないしな

『俺も扉を見に行く。それ、点くか？』

懐中電灯を指しながら言うと

火神はすぐ電源を弄って

「大丈夫だ」

との返答

『ん、下降りるぞ』

「おう」

もしかしたら鋸で番が切れるかもしれねぇしな